【特集2】超々臨界圧・微粉炭火力の新1号機 バイオマス混焼進め低炭素化へ エネ共存時代の火力運用

2021年2月3日

電源開発 竹原火力発電所

低炭素化に向け石炭火力の運用に新しい視点が必要となってきている。再エネ大量導入を見据えて負荷調整機能を高めながらバイオマス混焼も進める。

2020年6月、広島県竹原市の竹原火力発電所で約6年の歳月をかけ建設していた新1号機が営業運転を開始した。

新1号機は、出力25万kWの旧1号機と出力35万kWの2号機の合計60万kWと同容量の出力を持つ。

竹原火力新1号機と3号機の全景(提供:Jパワー)

蒸気条件として超々臨界圧(USC)を採用し、発電所の熱サイクルを最適化して向上させ、主蒸気温度600℃を実現(再熱蒸気温度は630℃、主蒸気圧力は27MPa)。微粉炭燃焼の火力発電設備として世界最高水準となる発電端効率48%を達成している。

さらに最新鋭の排煙脱硝・排煙脱硫・集じん装置の導入で、新1号機は旧1号機・2号機に比べ硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)・ばいじんを大幅に削減。高効率の達成と最新鋭の環境対策設備の導入は、地域社会への環境負荷低減をもたらしている。加えてCO2排出量を大幅に削減。発電電力量当たりの排出量を約2割削減している。

また、さらなる低炭素化を実現するために木質バイオマス燃料を積極的に活用することにも注目したい。一般的には数%程度の混焼率であるが、竹原火力では10%の混焼率を達成すべく高い目標を掲げている。

今後も導入拡大が進む再生可能エネルギー電源の出力変動にも柔軟に対応する、高い運用性能を実現する。

CO2削減に挑戦する火力 エネルギーの安定供給のために

新1号機の建設は14年に始まった。旧1号機(1967年運転開始)、旧2号機(74年)は設備を廃止するまで可能な限り稼働させつつ、3号機(83年)の運転にも支障をきたさないよう建設を進めてきた。廃止設備を運転させながら建設を進める「ビルド&スクラップ方式」を採用し、通常の建設工事に比べ1.5倍の工期をかけながら、難易度の高い建設をマネジメントしてきた。その間、定期的に工事状況についての説明会を実施し、刊行物を発行するなど地域の理解を得ながら工事を進めた。

民家との距離も近い立地であるため、旧1号機の運転開始から半世紀たった現在も変わらず環境対策に取り組み、地域住民とのきめ細かい情報共有に努めている。

竹原火力発電所は半世紀を超えてなお地域とともに歩み、高効率石炭火力の世界最高技術でCO2削減に取り組み、国内の安定供給を支えていく。