出力580Wの新パネルを発売 大型発電所などへの設置を狙う

2020年8月7日

【ジンコソーラー】

日本国内では、再エネの固定価格買い取り制度(FIT)の価格が年々下がっている。海外では買い取り価格自体がなくなる国もあるなど、太陽光発電市場は大きく変わろうとしている。そうした中、太陽光発電事業者や投資家が太陽光パネルメーカーに求めるのは、同じ広さの敷地でより多くの発電量を確保するため、高出力、高変換効率など、パネル性能のさらなる向上だ。

「Tiger Pro」シリーズ

そういった要望に応えるため、ジンコソーラーは6月、最大出力580W、変換効率21・21%の太陽光パネル「Tiger Pro」を発表した。従来品は475Wだった出力を、新技術の採用と大面積化することで高性能を実現した。新技術のうち、タイリングリボンは、モジュール製造時にセルとセルの間隔をなくして実装できる独自のもの。モジュールエネルギー密度を高め、LCOE(発電量当たりのコスト)の大幅な低減を実現している。また、従来角型だったリボンを丸型にすることで、接地面積が小さくなるのに加え、太陽光の一部がリボンで反射してパネルに届くようになり、出力を向上することが可能となった。

さらに、前シリーズ製品では5本だったセル上のバスバーを9本に増やすことで、間隔を半分にし、セルにマイクロクラックが発生した際の出力ロスを減少するようにした。

このほか、セルを半分にカットするハーフセル技術を採用する。セルの電流値を半分に下げ、セル内部の発電ロスを低減したり、太陽光が日陰になったときのロスを低減できる。

日本市場では大規模発電所向けの割合が7割を占めている。今回の「Tiger Pro」も高出力、高効率を武器に、同用途に向けて拡販していく構えだ。9月から販売を開始する。

日本はPPAモデルが成長 屋上設置型パネルを開発中

一方で、新たな市場として自家消費向けが盛り上がりを見せている。中でも、工場や事業所、店舗など需要家が屋根など設置場所を提供する代わりに、事業者が太陽光など発電設備を設置して需要家に電気を販売するPPA(第三者所有)ビジネスモデルが急成長する見込みだ。同社でも同モデルが拡大すると見ており、大規模発電所向けと自家消費向けの出荷量の比率は今後半々になると予測している。このため、自家消費に適した新製品の開発などにも注力していく構えだ。