コロナ禍の在宅勤務ストレスを可視化 精神状態を把握し新しい働き方を支援

2020年9月17日

【エムアイティーオフィス】

働き方改革で積極的な導入を推奨されてきたリモートワーク。

だが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、半ば強制的に導入された自粛を伴うリモートワークでは、本来の良さを享受できていないのが現状だ。自宅にこもり、気分転換の外出もままならず、精神の疲労が蓄積して体調を崩す声が聞かれるようになっている。

エムアイティーオフィスが販売する「メンタルチェッカー」は、感情を数値化・可視化することができる精神状態測定ソフトだ。エルシスジャパンが、ロシア政府機関のエルシスが開発した技術を応用し、作成した。

人は通常、1秒間に10回程度の微細な振動をしている。この不随意な動きに感情が現れるという運動精神生理学に基づき、ロシア政府が2014年のソチ五輪開催時、テロ対策システムとして研究開発した。メンタルチェッカーはこの解析エンジンを使用し、日常のストレスや精神状態を自動判定する。

既に国内ではエネルギー関連企業や研究所での導入実績があり、メンタルチェックに使用されている。ストレスの高い環境で働く従業員のための導入が多かったが、コロナ禍では、従業員と顔を合わせる機会が減り体調の変化に気付きにくくなった一般企業での導入が増えている。PCとカメラを用意し、メンタルチェッカーのライセンスを導入すればすぐにスタートできる。

自分で気づくことが目的 病気を防ぎ人材確保にも

計測はカメラの前に60秒間座り動画を撮影する。撮影中の振動パラメーターからストレスや安定性、活力、緊張などの10項目を数値化し、グラフ化する。定期的に任意のタイミングで計測し、5回ほど測ると個人の正常値の範囲が分かるので、その逸脱具合によって異変を認識できる。低い数値でも安定していれば問題はない。

 計測データはグラフ化しエクセルで管理できる

出社時に会社で計測する場合、1セットをフル稼働すると、1カ月でのべ1000人以上の計測が可能だ。リモートワーク時は各自がスマホで動画を撮影し、メールで労務管理者などに送りデータ化してもらう。ただし、データの管理は個人で行い、あくまでもメンタルの不調に「自分で気付く」ために活用する企業がほとんどだそうだ。

コントロールできない潜在的な部分を可視化するため、周囲の意見や筆記式による自己申告に左右されない点も大きな説得力を持つ。

事業企画室の中川恵輔シニアマネージャは、「自分の精神状態を把握できれば、病気を未然に防ぐことにつながります。企業も大事な人材を失わずに済みます」と、長期化する自粛生活の中で社員のメンタルを守る重要性を説く。

自然災害などで長期の避難所生活や仮設住宅での生活を余儀なくされる人々にも有用だとしている。