CO2フリーの水素ステーション FCバスの供給拠点として高稼働

2020年10月17日

【東京ガス】

一台、また一台と、燃料電池バス(FCバス)がひっきりなしにやって来る。東京ガスが日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)と共同で今年1月に開設した豊洲水素ステーションの稼働が順調だ。

ディスペンサーを2基備え2台同時の充填が可能だ

通常時で1日約20台への供給を見込んでいたが、「多い日には30台以上を受け入れています」と、東京ガス産業エネルギー事業部水素ソリューショングループの石倉威文マネージャーは稼働状況を説明する。

バスがディスペンサーに横付けされると、係員が慣れた手付きで充塡作業を行う。82MPaで毎時300N㎥の充塡能力を持ち、1時間でFCバス3台程度の充塡が可能だ。充塡を終えたバスは、再び市街地へと走っていく。

FCバスの導入台数は都営バス60台のほか、日立自動車交通や東急バスなど民間企業からの参入も進み、街中で目にする機会も増えてきた。同ステーションのFCバスへの充塡実績は8月中旬時点で累計1764台に上っている。

主要設備を2系統設置 不具合時の運用可能に

この高稼働を支えるのが〝フラッグシップ〟仕様設備の数々だ。商用化初となるダイアフラム式の圧縮機や高耐久かつ軽量化を図った82MPa蓄圧器を採用した。中でも水素の圧縮・蓄圧・充塡に関わる主要設備を2系統で構成した。ディスペンサー(トキコシステムソリューションズ製)も2基設置されており、2台同時の充塡が可能だ。仮に1系統で不具合が発生しても運用を継続できる。また、年1回の法定点検では、通常のステーションで2~3週間となる休業を数日程度に短縮することを想定している。

もう一つの特長が「CO2フリー化」を図っている点だ。同ステーションはオンサイト方式で、都市ガスから水素を製造して供給する。東京ガスは、調達先のシェルグループが保有するCO2クレジットで天然ガスの採掘から燃焼までに発生するCO2を相殺した「カーボンニュートラル都市ガス」を調達し、水素の原料に使用している。さらに、エネットが同ステーションに100%再生可能エネルギーによる電力を供給している。これにより、同ステーションで供給する水素の「CO2フリー」を実現している。

東京ガスは、同社グループの事業活動全体で「CO2ネット・ゼロ」を目標に掲げる。水素への取り組みもその一環として、積極的に進めていく方針だ。