コロナ禍のエネルギー供給 困難乗り越え責務を果たす

2020年10月4日

コロナ禍や自然災害など、異常事態が頻発している日本列島。どのような事態が発生したとしてもエネルギー供給を止めるわけにはいかない。

安定供給―。電気事業法、ガス事業法、熱供給事業法とエネルギー供給を取り巻く事業法のなかで、自由化時代になったとしても事業者らが最も重く受け止めている言葉だ。

とりわけ火力発電所やLNG基地、熱供給設備など大型設備を扱う事業者にとって、どのような事態に陥ったとしても安定的に設備を動かし続けることは最重要課題である。大規模な設備になればなるほど、安定的な運用が滞ったときの影響は計り知れないからだ。

そして近年頻発している大型台風やゲリラ豪雨、風水害などの自然災害に加えて、いま新型コロナウイルス災害という異常事態が発生する中、事業者は新たな難題に取り組んでいる。三密回避の設備運用、遠隔監視技術の積極導入、リモート業務の拡充など、新たな勤務体制を整備中だ。

建設中の大型設備も例外ではない。建設工事が滞り、計画していた供給開始年度が遅れてしまえば、長期に、そして安定的に供給し続けるための「供給計画」が瞬時に崩れ落ちてしまう。

既存設備の運用と新規設備の建設―。二つの事柄を同時並行で進めている事業者も存在する。中国電力の三隅発電所(石炭)では、定期的に海外から石炭船を受け入れ100万kWの電源を運用しながら、新たに100万kWの電源の建設を進めている。東京ガスも同様だ。日立基地では既存のLNGタンクを運用し、新たにLNGタンクを建設中だ。さらに、そこを起点に高圧幹線を整備するなど、難易度の高い運用・建設マネジメントを行っている。 われわれの日常のエネルギー利用は、事業者たちのあくなき挑戦によって支えられている。

コロナ禍において安全にそして安定的に運用している中国電力の三隅発電所(石炭)。現在、2号機の建設が進む