地産地消を柱に経営多角化 マイクログリッド実証に挑戦

2020年11月4日

リソース生かし次の展開へ 本業とのシナジーを模索

このサービスに続くさらなる展開として、新たな事業も動き出している。地域マイクログリッドの構築実証だ。

今年度の経済産業省の地域マイクログリッド構築実証の事業者として、カーシェアリングの共同事業者であるREXEV、メガソーラーを所有する京セラ、需給コントロールシステムの開発と、デマンドレスポンスに対応できるリソースを有する「A.L.I Technologies」が採択された。

この3社に湘南電力、市を加えてコンソーシアムを設立。太陽光やEVをはじめとした調整力を活用し、マイクログリッド構築の可能性を探る。需給調整はコンソーシアムが担い、非常時の電力供給の一部を湘南電力が担う。

新規事業へのチャレンジに積極的な原社長

原社長は「カーシェアリングでリソースとなるEVを増やしてきたという下地があったことで、マイクログリッド実証につながった。法整備はこれからの分野なので、まずは課題をあぶりだし、将来的な事業の実現可能性を検証していく。雇用創出の観点からも、アグリゲーション分野に挑戦していきたい」と力を込める。実証は11月から始動する予定だ。その成否次第で、改正電気事業法で新たに導入された「配電ライセンス」制度への対応も視野に入る。

この10年、新規事業で獲得したノウハウやリソースを次の事業展開につなげてきた小田原ガスだが、本業の都市ガス事業とのシナジーに関しては、模索の途中だ。「ガスと電力のセット割は好評だが、その先のビジネスモデルは見えていません。湘南電力の事業が好調でも、脱炭素化で本業の先行きが危ぶまれれば、湘南電力の取り組みも座礁してしまいます」と原社長。自治体の表明が相次ぐ「50年ネットゼロ」を小田原市も宣言している中、持続可能な都市ガス事業モデルを見いだそうと、さまざまな方向性を探っている。

今年から地元の食の情報などを織り交ぜつつ、ガス機器を紹介する機関誌を発行し、顧客以外の住民にも幅広く配布している。こうした取り組みから新規顧客の獲得に着手。「広域的なインフラ事業者として導管を維持することが最初のステップです。その先の段階で、ゼロエミッションへの対応や、そこでの導管の活用の道を探っていきたいです」と語る。

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