TLCのニーズは地方にあり! 地元企業と連携し安定供給を確保

2020年12月4日

TOKAIは、暮らしに関わる多彩なサービスを総合的に提供している。日本各地にある地元企業との連携により、業容の拡大を図っているところだ。

LPガス販売大手、TOKAI(本社・静岡市)が取り組む営業戦略の特色は、TLC(トータル・ライフ・コンシェルジュ)事業にある(図参照)。

利用者は、導入するサービスの数を増やすほどポイント還元率がアップし、お得になる。TOKAIにとっても、サービスの複合化による増収のほか、顧客囲い込みなどの効果が期待できる。このTLCを、同社は人口減少や高齢化が進む地方に照準を合わせて展開しているのだ。理由について、TOKAIホールディングスの中村俊則・取締役常務執行役員はこう話す。

「大都市部では大手事業者を中心にして既に激しい競争が行われています。そんな市場にあえて当社がTLCを引っ提げて参入したところで、お客さまを獲得し、利益を上げるのは難しい。一方で地方に目を転じると、新規参入はなく、競争もほとんど起きていない。しかしニーズがないわけではない。むしろ、生活インフラが未整備という事情を踏まえると、大都市よりもニーズが高い可能性がある。そこに、地域の企業と連携しながら、TLCサービスを提供すれば業容拡大の余地は十分あると考えています」

その言葉通り、同社はこれまで、群馬県下仁田町や秋田県にかほ市の公営都市ガス事業のほか、岡山県倉敷市や長野県諏訪市、宮城県仙台市のCATV事業などを次々と買収。そこを拠点に、高速光通信網などを整備し、TLC事業の拡大に力を入れている。同社グループの顧客総数は約300万件。うち、TLC会員は94万件と約3分の1を占めるまでに成長した。

本業のLPガスについては、どのような状況か。本拠地の静岡や千葉、神奈川のほか、北は宮城から西は福岡までと、まさに全国展開の様相だ。

「安定供給の要は、充塡と配送。そこについては信頼できる販売事業者とのアライアンスを積極的に推進していきます。例えば地方の販売店を見ると、充塡所を保有しているものの、顧客サービスまで手が回らない事業者が多い。そこでサービスを当社に委託する代わりに、当社の配送を受け持ってもらう。そうした相互補完で協業していくわけです。LPガスは現在のコロナ禍において、経産省から事業継続をしっかりやってほしいと期待されている。LPガスはライフラインそのものだという意識を全社員が持って、日々の業務に当たっています」(丸山一洋・TOKAI専務取締役)

10月には、AIやビッグデータ、IoTなどを活用したLP ガス基幹システムを再構築。LPWA端末を利用した自動検針システムの推進と合わせて、業務効率化を図るとともに顧客基盤の拡大と収益力強化を目指す。