次の成長の原動力はデジタル化技術 エネルギーテックでナンバーワンを目指す

2021年2月13日

【ENECHANGE】城口洋平/ENECHANGE代表取締役CEO

―昨年12月、会社設立から5年を経て東証マザーズへの上場を果たしました。

城口 エネルギーテック企業として、当社が初めて上場を果たすことができました。これまでは、大手電力・ガス会社に出資いただくことでエネルギー業界における知名度向上を図ってきましたが、これを機に、中立的な立場でテクノロジーを業界に提供し、デジタル化や脱炭素化に貢献するサービス事業者としての社会的な認知度を高め、信頼を得られる企業として成長していきたいと考えています。

―エネルギー業界の変化をどう後押ししていきますか。

城口 2016〜20年は、エネルギーシステム改革のうち「自由化」が先行し、当社も契約切り替え(スイッチング)支援事業で市場競争の活性化を後押ししてきました。現在、当社の売り上げの約6割をこのスイッチング支援事業が占めています。

 今後は、容量市場や需給調整市場、スマートメーターのデータ開放といった新たな制度がスタートすることになっており、デジタルの利活用や多用な電力価値取引などが活性化することが想定されます。そして、ベンチャー企業の主戦場もこうした分野に移っていくことになるでしょう。当社としても、デジタル化技術に関する事業にウェイトを移すタイミングですので、上場で得られた資金を活用しテクノロジーへの投資を本格化することで、需給調整市場、蓄電池・EVの利活用といったエネルギーテックの分野でナンバーンワを目指していきます。

―売上高など、今後の成長目標について教えてください。

城口 今期は17億円の売り上げを計画していますが、まだまだ伸びるポテンシャルはあり、25年から30年の間に100億円を超える売り上げ規模にするのが目標です。もちろん、現行の事業だけでは達成できませんから、VPP(仮想発電所)やEVといった新しい分野のシステム開発・サービス提供にしっかりと取り組んでいかなければなりません。「自由化」「デジタル化」「脱炭素化」「分散化」の4分野でテクノロジーを提供する、日本におけるエネルギーテック企業の第一人者でありたいですし、エネルギー市場の健全な競争促進と、業界の脱炭素化に向けたトランスフォームを促していくことが当社の役割と自任しています。

きぐち・ようへい 東大法学部卒、ケンブリッジ大工学部博士課程(休学中)。ケンブリッジ大在学中に電力データに関する産学連携研究機関「ケンブリッジ・エナジー・データ・ラボ社」を設立。2015年にENECANGEを共同創業し代表取締役会長に就任、現在に至る。