【記者通信/2月4日】経営難の新電力救済を 内閣府TFメンバーが緊急提言

2021年2月4日

内閣府に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(再エネTF)」のメンバーである大林ミカ(自然エネルギー財団事務局長)、川本明(慶応大学特任教授)、高橋洋(都留文科大学教授)、原英史(政策工房代表)の4氏は3日、昨年末から続いた電力需給のひっ迫と市場価格高騰問題に対する緊急提言を連名でまとめた。

提言内容は、①当面の供給力(売り入札)確保、②徹底した真相究明、③価格高騰に関する正確な状況説明、④新電力等の緊急支援、⑤市場制度の再設計、⑥構造的問題への対処――の6項目で構成。特に④の新電力支援では、発電事業者と一般送配電事業者双方に支払い猶予や遡及適用による負担軽減などを強く求めている。

具体的には、発電事業者に対してはスポット取引決済における支払い期限の延期や分割払い、約定価格の遡及的見直しの検討すること。一般送配電事業者に対しては、インバランス精算において一定の値を上回る場合に限界費用ベースの料金を別途設定し遡及適用で新電力に差益を還元することや、FIT特定卸の調達価格についてFITの買い取り価格を上限に設定し、この上限価格を昨年12月20日まで遡及的に適用し差益を新電力に還元することだ。

今回の市場価格高騰では、多くの小売り電気事業者の経営が窮地に陥っており、制度見直しが急がれるのは確か。ただ、自由化された市場において、不測の事態により一方のプレーヤーに不利益が生じたからといって価格やルールの遡及適用が認められるのか疑問符が付く。「価格の遡及適用だけは認めるつもりはなかった」(事情通)経産省が、この提言を受けてどう動くのか注目される。