長年手掛けたノウハウを活用 洋上でリーディングカンパニー目指す

2021年3月20日

【コスモエコパワー】

政府は昨年10月、2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言、同12月には「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」を開催し、梶山弘志経済産業相が「温暖化ガス排出削減における鍵の一つが洋上風力」と発言するなど、風力発電業界はさらなる成長期を迎えつつある。

コスモエネルギーグループでは第6次連結中期経営計画にて風力発電事業を新たな柱と位置付けており、このような流れの中、傘下のコスモエコパワーの取り組みをより一層強化し、国を挙げて取り組む脱炭素化社会の実現に貢献したいと考えている。

波崎ウインドファーム(茨城県神栖市)

大切な地元との合意形成 地域支援を通し関係を構築

コスモエコパワーは前身となる会社が日本初の風力発電専門企業として1997年に創業。現在、国内シェア第3位に位置する業界の老舗だ。これまで20年以上にわたり、25カ所以上の地域で風力発電所の建設を行い、設備容量は約26万kWを有する。

同社の強みは、発電所建設における風況の知見があることや、開発地域住民との合意形成、設計、施工、O&M(オペレーション&メンテナンス)まで一貫して手掛け、それぞれノウハウを持っている点だ。

特に、事業化に向けて注力しているのは地元との合意形成だ。地権者や地元町内会、自治体などの理解を得るに当たっては、相手の立場を尊重しながら、不安や課題を取り除くべく丁寧に話し合い、さらに自社事業を理解してもらうよう努めている。時には、風力事業と直接的に関係しないが、地域活性化につながるような、独自の地域支援を通して、各地で良好な関係を築いているとのことだ。このような取り組みにより、これまで円滑に事業を拡大してきた。

今後、洋上風力発電事業に注力していくに当たっては、これまで以上にコスト競争力や開発に関わる人材力、サプライチェーンを形成する力が求められる。

そんな新市場に向けて、同社では長年にわたり培ってきた陸上風力発電事業でのノウハウを生かした展開を進めていく方針だ。

例えば、洋上風力事業に適した海域における漁業では、ほかの地域と同様に、後継者問題や漁獲高の減少など多くの課題を抱えている。新たな産業として洋上風力事業を加え、融合することで、漁業の効率化や、地域社会における新たな雇用機会や産業の創出のほか、風車を観光資源化し旅行者を呼び込める可能性もある。このような課題に一つひとつ丁寧に取り組むことで地域社会の活性化と共生につなげ、同社は洋上風力事業のリーディングカンパニーを目指していく。