【大阪ガス藤原社長】新中期計画がスタート ミライ価値の共創により、社会課題の解決に挑戦

2021年5月1日

50年脱炭素化へ メタネーションに挑戦

井関 「低・脱炭素社会の実現」とのことですが、50年脱炭素化は実現可能でしょうか。

藤原 昨年10月に菅義偉首相が「50年に温室効果ガス排出実質ゼロ」を宣言されて以降、お客さまや社会の脱炭素化に向けた取り組みが急速に進展しています。当社としても1月に「カーボンニュートラルビジョン」を発表し、都市ガスや電源の脱炭素化を推進し、50年カーボンニュートラル実現への挑戦を掲げました。都市ガスの脱炭素化実現には、さまざまな技術革新が必要と考えています。

その一つがグリーン成長戦略の重要分野の一つ「カーボンリサイクル」の一形態である「メタネーション」です。当社は従来のメタネーション技術に加え、革新的メタネーション技術として、再生可能エネルギーと水、CO2から都市ガスの主原料となるメタンを高効率に合成する技術開発に取り組んでおり、その基礎的研究に成功し、今後30年頃の技術確立に向けて研究開発をさらに進めていきたいと考えています。

また、廃棄物処理施設や製鉄会社や化学会社などのさまざまな業種とアライアンスを進め、社会実装を目指していきたい。メタンの製造コストの大部分を占める再エネについては、今後大量に導入されることによる低コスト化を期待しつつ、当社も自ら電源開発や調達を進め普及拡大に貢献していきます。また、再エネコストの安い海外で合成したカーボンニュートラルメタンを輸入することなども考えれば、都市ガスの脱炭素化の実現性は十分にあります。

最近の取り組み事例では、4月1日に再エネ100%の電気を供給する新料金メニュー「D-Green」、天然ガスの製造工程や需要地で発生するCO2をクレジットで相殺する「カーボンニュートラルな都市ガス」の申し込みの受け付けを開始しました。

再エネ投資については、23年度までに国内外で250万kWの普及貢献を目指しており、3年間の成長投資5000億円のうち約1200億円を投じる計画です。今年度は尻別風力発電所の運転開始を予定しており、洋上風力など新たな再エネ電源開発にも積極的にチャレンジしていきます。

 また、今後は水素やアンモニアといった新エネルギーへの取り組みにもチャレンジしていきます。今年度中に脱炭素に向けた研究開発拠点「Carbon Neutral Research Hub」のオープンを予定していますが、他社とのアライアンスや関係省庁との連携を通じて、脱炭素化技術の開発を加速させるのが狙いです。スピード感を持って、さまざまな実証事業に取り組んでいきます。年間約70億円の当社の研究開発費を脱炭素分野にシフトさせるとともに、グリーン成長戦略に資する技術開発について国の支援を仰げるよう働きかけも行っていきます。

SOECメタネーションの仕組み
鹿児島県出水市の桑原城メガソーラー(No.4)

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