想像力を働かせ万全な備えを 他企業と連携した防災訓練を実施

2021年9月9日

【東京ガス】

 東京ガスが毎年7月に実施し、子会社や協力会社を含む同社グループの従業員約2万人が参加する総合防災訓練。今年度の想定は、東京五輪・パラリンピック大会が開催中の昼間、東京湾北部を震源とする最大震度6強の地震が発生したという内容だった。

初の試みは、他事業者との連携だ。東京電力パワーグリッド(東電PG)、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、首都高速道路が訓練に参加した。さらに、2022年4月の導管部門の法的分離を見据え、それぞれの関係事業者とも連携方法などを確認・検証する訓練になった。

事前にシナリオを用意せず、当日知らされる被災状況に対して、非常事態対策本部の各班が要領などに基づいて対応。災害に対するレジリエンス(強靭性)をより一層高める訓練を目指した。

被災状況は、最大震度6強の揺れにより、101万件分の低圧管が自動停止。中圧導管の無事を確認しブロック化して供給を継続した。サテライト基地や火災地点の供給状況を確認するなど緊迫感が続く中で進行した。

訓練は2部構成。「初期段階」の訓練では、発災から約2時間後の非常事態対策本部会議(対策本部会議)で、ガスの供給停止状況や、ガス製造・供給設備・発電設備などの被害情報を把握し事業継続計画を発動。発災6時間後を想定した対策本部会議では、さまざまな被災状況から同社グループ各社と連携し、災害方針などの重要事項を意思決定した。

続く「復旧段階」の訓練は発災翌日の設定だ。早期復旧のための復旧基本計画を策定し要員を調整。グループ各社や日本ガス協会からの応援隊やほかのガス小売り事業者の災害対応要員を含めた復旧体制の構築などを行った。また、首都高速道路と災害対応の車両移動で重要な高速道路の被災状況や通行可否などの情報を連携。電力については停電状況などを東電PGとオンライン会議システムで共有し確認した。東電EPとは、ガス事業者間の保安確保のため連携・協力に関するガイドラインに基づき、情報連絡方法などを確認した。

二次災害の防止が重要 想像力を働かせて対応する

当初予定していた訓練は、東京五輪・パラリンピック大会開催中、多くの観客や関係者が訪れる中での対応だった。だが結局、無観客開催となり、関係人数も絞られた中では、他社との連携に重点を置く訓練となった。

内田高史社長は、「災害対応で最も大切なのは、二次災害の防止だ。さまざまな情報の収集方法や対応方法についてさらに検討を深め、危機対応力強化につなげてほしい」と、いつ起きるかわからない自然災害に対して想像力を働かせ、万が一への対応を万全にする必要があると呼び掛けた。

コロナ対応も万全な対策本部会議(中央:内田社長)