【特集2】研修プログラムで特約店の人材育成支える 個の力を高めてチーム力向上につなげる

2021年10月3日

【ENEOSグローブ】

独自の人材育成プログラムを実施するENEOSグローブ。国家資格の取得支援では合格率100%の実績を持つ。

「LPガス需要の減少や環境対応など、業界は大きな課題を抱えていますが、未来を担う人材の育成は大きな課題だと考えています。当社としては、特約店の人材育成をサポートすることで、少しでも業界の課題解決につなげられればと考えています」。そう話すのは、元売り大手・ENEOSグローブ販売総括部の兼健太郎・販売総括グループマネージャーだ。

ENEOSグローブでは、特約店に対して、人材育成を目的とした研修プログラム「ENEOSグローブカレッジ」を毎年開講しており、今年度は70を超える特約店の従業員が受講している。

このカレッジは「一人ひとりの成長をチームの力に結集すること」をテーマに、組織の持続的成長のため、組織の要であるマネージャーと自律的行動と協働で成果を上げるメンバー各々の個の能力向上に必要なプログラムを提供。今年度は受講者の役割や役職に応じて階層を細分化した講座を設けた。区分けされた階層は経営層に近い部長や部門長クラス、組織の運営を担う課長、現場に近いリーダーや営業担当、そして新入社員―といったように細かく分けた。

細分化した背景を、佐々木洋江・アシスタントマネージャーはこう説明する。

「取り組む内容や日々考えていることなど、おのずと階層ごとに異なります。各階層に求められるスタンスやスキルに応じた研修内容を構築しました」

各階層が、人としての信頼に影響を与える「人間力(ヒューマンスキル)」から学習し、実践的な「仕事力(業務遂行スキル)」や「専門性(LPガス関連スキル)」を関連して学ぶことで、個々の能力を高め自律的に行動する人材として成長するための体系を構築している。その内容は「事業推進マネジメント」「人と組織のマネジメント」「営業プランニング力強化」「営業マインド養成」など多岐にわたる。

ほとんどのコースが参加型で、グループディスカッションやペアワークの場を設けるなど、プレゼン能力やコミュニケーション能力の向上も支えていく仕組みだ。

ドラッガー氏の教え 国家資格「完全合格」を支援

カレッジでは複数の外部講師を招聘しているが、中には「現代経営学」や「組織マネジメント」の考え方を生み出したP・F・ドラッガー氏から実際に薫陶を受けた講師も名を連ねているなど、豪華な構成となっている。

従前は集合形式で開催していたが、新型コロナ禍で、今年度のカレッジは昨年度から引き続きオンライン形式で開催している。移動が不要で時間が効率的に使えると受講者からも好評だという。また、懸念していた受講者間の交流にも問題はなく、オンラインでできない研修は無いということを実感しているそうだ。「特にグループワークでは、他社の事例を吸収しようと、皆さん活発にディスカッションしていますね」(佐々木さん)。

加えて、研修後に実務に戻って一定の期間を経た後、再び講師との1対1面談などの機会を設定。研修内容と実務とのギャップを埋めるためのフォローを、研修の一環として行うなど、手厚い人材育成となっている。これも、オンラインだからこそ可能な施策だ。

さて、ENEOSグローブカレッジには階層別研修とは別に「LPガス専門分野」というもう一つの柱がある。なかでも国家資格となる液化石油ガス設備士の資格取得サポートは、同社の取り組みの中でも特筆すべきものだ。この資格はLPガスの供給・販売現場では重要な資格の一つで、特約店にとっては欠かすことのできないものだ。そんな資格取得を、ENEOSグローブでは「合格率100%」の実績を持っている。

「試験日程1週間以上にわたって座学から実技まで、試験に必要な内容を研修センターで箱詰めになって学びます。13年から毎年実施していますが、おかげさまでこれまで受講者全員が合格しています。コロナ禍で、実施回数や人数が制限されていますが、全員に必ず合格してもらいたいとの思いで行っています」(兼さん)

多くの特約店や資格取得の支援など、さまざまな側面から人材育成に取り組んでいるENEOSグローブ。こうした姿勢は結果的に、消費者に向けて「安全で安心なLPガス」や「LPガスそのものの魅力」を伝えることにもつながっていく。