【特集2】自動車エンジン技術を応用 非常用発電でLPガスの本領発揮

2021年10月3日

【レイパワー】

分散型としての機能をさらに高めるアイテムが登場している。レイパワーではLPガス式の発電機を手掛けている。

レイパワーは、LPガスを燃料とした3kVAの非常用発電機(非発)を販売している。

これは60㎏のガスボンベで72時間の連続稼働が可能(300時間稼働時にメンテナンスが必要)、停電を検知してから40秒以内に自動起動するブラックスタート機能を搭載。本体重量が240㎏で同出力の従来製品と比較して約半分~3分の2程度小型で軽量のため、建物の2階やビル屋上にも設置可能だ。

また、遠隔地から本体を操作および稼働状況を確認するリモート監視機能もオプションで搭載しているため、稼働状況などをリアルタイムで確認できる。

国土交通省は「簡易型非常用発電装置機器仕様書(案)」で非発の仕様書を定めているが、これまではディーゼル発電機のみが対象だった。

今年4月にはLPガスを燃料とする非発の仕様書である「ガスエンジン式簡易型非常用発電機発電装置機器仕様書(案)」が策定され、同仕様書に準拠した性能を誇っている。

耐久レースの技術を採用 大型モデルも今期中に発売

開発の経緯について同社の内田洋輔社長は「東日本大震災がきっかけです」と説明する。

震災時には多くの建物が津波や地震で被害を受けたが、被害が軽微だった建物でも1階部分が被害を受けたことで非発がトラブルを起こして起動しない、管理者がメンテナンスを怠っていたためディーゼル燃料が劣化してしまい着火しないなど、非発が稼働しなかった事例も多かったという。

震災後、製品開発を担当するYGK通商は震災の実情を見るべく国交省と被災地の視察を実施。災害のため稼働しない非発を見かけると同時に、復旧したLPガスで煮炊きをする地域も目にした。

そうした経緯もあり、同社は日産自動車でル・マン耐久レースやデイトナ24時間レースなどに参戦するエンジンを開発していた林義正氏とともに、LPガスで稼働する非発の開発をスタートした。

長時間稼働、小型かつ軽量、レジリエンス能力が評価され、高知県中土佐町の避難所や神奈川県の介護施設など、人の命を守る施設で導入されている。現在は3kVAモデルのみだが、今期中には出力50kVAのモデルをリリース予定。同モデルからはLPガスだけではなく都市ガス仕様の製品もラインアップする予定だ。

大規模災害が頻発する昨今、LPガスの非発は大きな力を発揮しそうだ。

レイパワーが販売するLPガス非常用発電機