【特集2】ベトナムでLPガス事業に出資 現地に適応した事業展開を目指す

2021年10月3日

【レモンガス】

レモンガスは同社初となる海外でのLPガス事業を開始した。現地に合う事業展開を進めるべく、着々と準備を進めている。

レモンガスは4月30日、ベトナムのLPガス事業者・中部ペトロ生産投資(PMG)の株式を24.8%取得したと発表した。PMGには戦略的パートナーとしてレモンガス佐藤良一常務が取締役副社長として赴任する。LPガス分野で海外事業に出資するのは同社初の試みだ。

PMGは2007年に創業し、17年にはホーチミン市証券取引所(HOSE)に上場した新興企業。ベトナム中部の内陸部に広がる中部高原地域を中心に燃料の輸入、貯蔵、充填、卸、小売り、ボンベ製造など上流から下流に至る全工程を手掛けている。

ベトナムの人口は約9762万人(20年時点)で、人口も増加傾向にある。政治も比較的安定しており、国内各地に工業団地を設けて海外企業を誘致するなど、政府を挙げて産業振興を推し進めている。

一方、地方では多くの家庭で薪が使われている。LPガスは運搬が容易かつ高カロリー、燃料の中でも環境に比較的優しい熱源で、今後、LPガスへの燃転需要は増加していくと見込まれている。

とはいえ、ベトナムのLPガス需要について佐藤常務は「日本とはエネルギーの使い方は大きく異なる」と話す。風呂文化のある日本と異なりベトナムのエネルギー需要は少ない。そのため給湯器も電気式の温水器、調理もニクロム線の電気コンロが一般的に用いられており、ベトナムでも電化がLPガスのライバルになるそうだ。

日本でのノウハウを還元 海外事業が成長の鍵に

日本とベトナムは文化・風習は異なるが、LPガスが普及していく過程で日本のガス業界で起きた企業間の競争が発生する可能性は高い。そのとき、日本の技術やサービスが参考になるかもしれないと、レモンガスは考えている。

「LPガスの普及が進めば顧客へのサービス・サポート分野での競争も起きることが予想される。他社との差別化を図るためにもセット販売、安心・安全向けのサービスは有効かもしれない。日本でのノウハウがそのまま使えるわけではないが、ベトナムの風習、法律、市場を踏まえて、日本での経験を還元していきたい」(佐藤常務)。

現地に適応した形で事業展開を行う構えだ。 需要拡大が見込める地域での事業は、企業成長の新たなトリガーになるかもしれない。

PMGが保有する設備