水道メーターをスマート化 電力インフラで管理コストを低減

2021年10月7日

【中部電力】

 中部電力、豊橋技術科学大学、東京設計事務所、静岡県湖西市は、水道スマートメーターや各種センサーなどのビッグデータを収集および解析して事業に活用する共同研究の基本合意書を締結している。

水道を管理する自治体では、少子高齢化による人口減少や節水型機器が普及したことで、水需要が減少する課題に直面している。各自治体いずれも運営基盤強化に向けて業務の効率化が求められており、同様の問題を抱える湖西市は課題解決に向けて2020年11月に基本合意書を締結し、データ利活用の調査・研究に向けて取り組みを開始した。

共同研究では、①利用者の水道メーターをスマート化し、使用量などの情報を取得するための新たな情報通信ネットワークを構築、②水道スマートメーターの情報から水の流れ(使用状況に即した管網解析)を予測、③水の流れから得られる流量・流速・水圧に加え、配管状況や水温などから水質の状況(残留塩素濃度)を分析し、濃度変化のメカニズムを解明、④水の流れや水質状況を元に、管路の合理的な更新計画(アセットマネジメント)の検討を実施―を目標に掲げ、21年度からさまざまな取り組みを開始する。

自動検針のイメージ図

通信に電力インフラを活用 DX化で維持管理を高度化

この共同研究の一環として、4者は9月から、研究パイロットエリアである同市の一部地区で、水道スマートメーターと通信端末の設置を開始した。

対象エリアは湖西市知波田および入出地区の1890戸。これまで水道メーターの検針業務は検針員が人力で行ってきたが、水道メーターに通信端末を設置することでスマート化し、得られた情報は中部電力が保有する電力スマートメーター通信網とMDMS(メーターデータ管理システム)を利用して湖西市水道課のデータ収集サーバーに転送。検針データ、警報情報などの各種データをリアルタイムで取得することで、水質管理や施設更新など維持管理業務に活用することが期待されている。

水道スマートメーターと通信端末は両地区に9月から順次設置され、研究も併せて開始する予定。また、研究以外でも市営住宅の水道メーター320戸をスマート化とする予定であり、湖西市水道課が実施するSMSなどを活用した利用者へのきめ細かな情報提供や電子申請・電子決済などと連携したデジタルトランスフォーメーション(DX)推進による市民サービスへの貢献にも鋭意取り組んでいく構えだ。

既にほかの地域でも、電力スマートメーターの通信網を他事業者に貸し出すことで、ガス・水道の検針業務を高度化する事業が行われている。全国各地で整備が進められる新たな電力インフラは、地域の悩みを解決する有用なソリューションになりそうだ。