【特集2】脱炭素化関連の技術開発を加速 鍵握る複合センサーシステム

2021年11月3日

【理研計器】

都市ガスプラントの業界標準となっている理研計器のセンサー製品群。複数個組み合わせることで、メタネーションなど次世代エネ開発に寄与する。

天然ガスはLNG化してタンカーで運ばれ、荷役設備を通じて荷揚げし、LNGタンクに運ばれる。出荷時にはLNGを天然ガスに戻し、熱量調整してパイプラインに送られる―。この一連の都市ガス製造工程に理研計器のガス検知器やセンサーが業界のスタンダードとして多く採用されている。

そんな同社が現在注力しているのが、次世代エネルギー技術開発現場へのセンサーの展開だ。カーボンニュートラルの潮流が世界規模で加速している。その中で、メタネーションや水電解技術、水素混焼・専焼技術など、さまざまな技術を社会実装するべく、国やエネルギー会社、メーカーなどが開発中だ。ただ、現場の開発者からは「実証実験ではコストはかけられない」「現場が防爆で一般的な分析計では対応しきれない」といった悩みの声を多く聞く。

市場戦略部の寺本考平副部長は、「当社は既存センシング技術の組み合わせや既存センサーの転用で、『ガス検知器以上、分析計未満』のガスモニタリング環境を提案できます」と胸を張る。

メタネーション開発に対応 三つのガスを高精度に把握

例えば、メタネーションにおいては、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、メタン(CH4)3種類のガス濃度の把握が求められる。それぞれのガスにきちんと置き換えされているか継続的に確認する必要があるためだ。

そこで、同社の防爆型熱量計「OHC―800」を用い、独自の演算技術でメタネーション工程における組成分析を行う。すると、H2とCH4の割合が判明し、演算で雑ガス量が計算できる。さらに、自動制御に使うプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)を組み合わせることによって3種類のガスの濃度管理(モニタリング)が可能となる。これにより、ガス検知器よりも正確な精度で濃度のモニタリングを実現しながら、分析装置よりも手軽にリアルタイムで把握が可能で、防爆エリアでの使用も考慮できるようになる。営業技術課の杉山浩昭課長は「センサーを組み合わせることで、単一のガス検知器では難しかった複雑なモニタリングが可能になりました」と説明する。

組み合わせ応用例

同社には、メタネーション以外に、水電解装置や水素ステーション、アンモニア燃料エンジンなどの開発でも問い合わせが相次いでいる。これらにも複合センサーシステムで対応していく。「さまざまな要望に応えていきたいです。開発において困りごとがあったら、問い合わせていただきたい」と寺本副部長。同社のセンサーが脱炭素化に資する次世代技術開発をさらに推し進めていきそうだ。