ローカル5Gの検証スタート 次世代サービスの商用化も視野

2021年11月8日

【中部電力/中部テレコミュニケーション】

 高速大容量、低遅延、同時多数接続の特長を持つ、次世代通信規格「5G」。携帯電話事業者を中心に全国的にネットワークの整備が進むと同時に、自社施設や工場敷地内など、限られたエリア内で独自に5G通信網を構築する「ローカル5G」整備に乗り出す事業者が増えている。

中部電力もそうした事業者の一つで、同社はグループ会社の中部テレコミュニケーション(ctc)と共に、中電グループが運用する変電所と社員寮でローカル5G網を構築する共同検証を行っている。共同検証では、名古屋市西区にある中部電力の小田井寮(中電不動産所有)の敷地内に基地局を設置。寮施設と寮に隣接する枇杷島変電所で、実環境下での電波伝搬特性や通信性能、基地局の設置や運用など、実用化を見据えた各種検証を行う。

検証の実施イメージ

ローカル5Gを整備することで、これまで利用されてきた4G回線やLPWA(低消費電力長距離無線通信)以上の応答性能と高速大容量通信を活用した高度なIoT化やDX化が図れるのではと期待されている。また独立した通信網ということで、携帯電話事業者の通信障害や、基地局の被災の影響を受けにくいなどの特長がある。

ラストワンマイルに活用 新サービス商用化も視野

通信設備は一般的に利用されている5G設備を4G設備と連携させて通信を行うノン・スタンドアローン方式(NSA方式)ではなく、スタンドアローン方式(SA方式)を採用した。SA方式は5G設備のみ利用して5G通信を行う方式のため、NSA方式の5G通信と比べて設置や運用コストを抑えられるメリットがある。

インターネット・電話・テレビなどの通信サービス「コミュファ光」ブランドを提供するctcは、今回の検証を基に光ファイバーの幹線から契約者宅までのラストワンマイルを、ローカル5Gで無線化することで高速大容量の通信サービスの提供や、光ファイバー工事の工期短縮効果をもたらすと期待を寄せる。さらにローカル5Gによるインターネット接続の実用化に向けた評価を行い、商用化の検討を進める。

中部電力は遠隔監視、映像伝送、画像解析などによる災害時の設備復旧の迅速化、日常的な巡視点検の効率化などに向け、携帯電話事業者の5Gとローカル5Gの比較を行い、それぞれの特性を把握し、高度な自社通信ネットワークの構築に努めていく。

グループ全体で5Gの実用化を進めることで、新サービスの商用化および自社設備の高度化を図る方針だ。