【マーケット情報/12月10日】原油反発、変異株への警戒緩和

2021年12月13日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み反発。米国原油を代表するWTI先物は5.41ドル、北海原油の指標となるブレント先物は5.27ドルの大幅上昇となった。新型コロナウイルス・オミクロン変異株に対する警戒感が緩和されたことが背景にある。

世界保健機構は、オミクロン変異株の感染による症状は、比較的軽度であるとの見解を示した。南アフリカでは同変異株の感染者数が急増しているが、集中治療室の利用率は低い。欧州委員会は、移動規制の強化を保留。また、インドネシアは、クリスマス休暇と年末に向け、移動規制を緩和する計画。経済活動が維持され、石油および燃料需要は保たれるとの予測が強まった。

加えて、北東アジアの製油所は高稼働を続ける見通し。中東産油国の1月ターム供給価格が発表され、石油製品の精製マージンが明確になるまでは、原油処理量の変更には踏み切らない見込みだ。

供給面では、米国政府が、戦略備蓄5,000万バレルの放出時期を数カ月ほど調整する可能性を示唆。エネルギー価格が下落した場合は、柔軟に対応すると表明した。また、同国の週間在庫は減少。

一方、インドは、変異株の感染拡大を受け、国際便の停止期間を1か月半ほど延長。英国も入国規制を強めた。さらに、米国の石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した国内の石油掘削リグの稼働数は、前週から4基増加して471基となり、価格上昇を幾分か抑制した。

【12月10日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=71.67ドル(前週比5.41ドル高)、ブレント先物(ICE)75.15ドル(前週比5.27ドル高)、オマーン先物(DME)=72.72ドル(前週比1.90ドル高)、ドバイ現物(Argus)=72.94ドル(前週比2.45ドル高)