火力発電所で新たに実証 カーボンニュートラルへ取り組み加速

2022年1月12日

【東北電力】

 地球温暖化問題への対応として世界的に気運が高まる脱炭素化。こうした中、東北電力グループは、“カーボンニュートラルチャレンジ2050”を旗印に、その実現に向けて取り組むこととしている。

具体的なロードマップとして、2030年度には、CO2排出量を13年度比で半減させる目標も掲げ、さまざまな施策を展開する。

その一環として、石炭火力の能代火力発電所(秋田県能代市)では、木材を加熱して半炭化させたバイオマス燃料「ブラックペレット」の混焼実証に向けた検討を始めた。同社の石炭火力発電所では、既に木質チップの混焼を行っているが、混焼率のさらなる向上によるCO2の排出量削減が狙いだ。

ブラックペレットは木質チップよりも高い熱エネルギーを有するほか、既存の設備を改造せずに扱えるといった特長がある。カーボンニュートラル(CN)に向けた有効策の一つとして、24年度以降の本格運用を目指している。

また、バイオマス燃料の知見獲得に向けて、秋田火力発電所(秋田県秋田市)では、構内の遊休地を利用し、原料となる植物の試験栽培も開始した。栽培しているのは、いずれもイネ科のソルガム、エリアンサス、ジャイアントミスカンサスの3種。21年7月、40m四方の土地に計約700株分の種や苗を植えつけたところ、短期間で大きな草丈に成長。寒冷な東北地方の気候風土でも生育できる種があることが確認された。

秋田火力構内で青々と生い茂る「ソルガム」

ペレット化に向け乾燥 火力発電で混焼

栽培した植物の一部については刈り取り後、ペレット化に向けた乾燥の工程を進めている。刈り取り時期を分散させることによる乾燥状況の差異についても検証する計画だ。

今後は栽培した植物の収穫量や性状などを踏まえて、ブラックペレット化や能代火力発電所での混焼についても検討し、バイオマス燃料に関する知見の上積みを図る。

同社は、能代火力発電所の1プラント(60万kW)にブラックペレットを10%程度混焼した場合、およそ30万t程度のCO2を削減できると試算。石炭火力発電所の脱炭素化を見据え、一部バイオマス燃料の地産地消の可能性を探る取り組みに期待が膨らむ。

こうした火力電源の脱炭素化に向けた取り組みに加え、同社は、「再エネと原子力の最大限活用」と「電化とスマート社会実現」を大きな柱に据え、CNに向けた取り組みを加速していく考えだ。

高い熱エネルギーのブラックペレット