寿都・神恵内に「分断」見当たらず 平穏さ取り戻し新たな挑戦

2022年1月17日

【インタビュー/片岡春雄 寿都町長】

町民の不安にきめ細かく対応する

文献調査に応募した片岡町長は、2021年10月の町長選で6選を果たした。

選挙後の様子や概要調査前に行われる住民投票の在り方などについて聞いた。

――1135票(対立候補は900票)を得て勝利しました。勝因をどう分析していますか。

片岡 まず、これまでの町長5期の実績を評価してもらったと思っています。また今回、後援会の皆さんが大変、尽力してくれた。後援会の力がなければ、大きく票を減らしていたと思っています。

――文献調査への応募の影響はどう考えていますか。

片岡 この度の町長選挙において、各メディアも相手候補も「核のゴミ」を争点にしていましたが、私は、概要調査前に住民投票を行うと説明しており、町づくりを争点に掲げました。しかし、結果として900票の反対の声は重く受け止めなければなりません。

 しかし、多くの住民は、説明会、勉強会に参加しておらず、改めて勉強会を開催し、高レベル放射性廃棄物の知識を高めた中で、住民投票に臨んでいただきたいと思います。

――概要調査前の住民投票に向けて、説明会・勉強会などはどう進めていきますか。

片岡 町民が不安に思っていることについて、丁寧に説明して、それを多くの皆さんに知っていただくようにしたい。やはり、パンフレットなどの配布だけでなく、実際に専門家の話を聞いてもらうことが大事だと思います。

 例えば、フィンランドやフランスなど処分事業が進んでいる国の例を知ってほしい。また、町民の代表の人たちに幌延町の深地層研究センターや青森県六ケ所村の使用済み燃料再処理工場に見学に行ってもらい、それらの印象を伝えてもらうことなども必要でしょう。 そういったことを、きめ細かく説明する会合が必要だと思っています。

――町長選の後、文献調査に賛成・反対の人たちの間で「分断」はありませんか。

片岡 分断という言葉は、文献調査に強く反対している人たちからしか出てきません。

 町民のほとんどは分断を望んでいなく、一部の人を除いて声を出さないことが分断につながらなかったと思います。

――国、NUMOにはどういう期待がありますか。

片岡 高レベル放射性廃棄物の処分事業についての議論が全国で行われるようになって、早く複数の自治体が文献調査に応募できるようにしてほしいと思います。

かたおか・はるお 1971年専修大学商学部卒。75年寿都町役場。農政課長、保健衛生課長などを経て2001年町長。当選6回。

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