【マーケット情報/12月24日】原油上昇、需給逼迫観が台頭

2021年12月27日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み上昇。新型コロナウイルス・オミクロン変異株の感染が拡大するも、需給が逼迫したことで、買いが優勢になった。

米国政府は、ロックダウンをしない方針。年末の休暇に向けて、移動用燃料の消費が増加するとの予測が強まった。また、インド国営製油所は、1月以降の需要増を見込み、高稼働を続ける計画だ。さらに、イタリアおよびフランスでは11月、車両用の燃料消費が前年比で増加し、2019年のパンデミック前水準を上回った。経済活動および石油製品需要が回復しているとの楽観が広がり、価格の強材料となった。

供給面では、リビアが政情不安を受け、生産を一部停止。加えて、リビア国営石油は、2か所の輸出港でフォースマジュールを宣言しており、同国からの供給が滞るとの見方が台頭した。さらに、OPECプラスの協調減産の順守率は11月、前月から上昇し、117%を記録。複数の加盟国が、変異株の感染拡大を背景に、生産設備の稼働を引き下げていたことが要因とみられる。米国の原油在庫が4週連続で減少したことも、需給を引き締めた。

一方、ドイツやポルトガル、フィンランドなど欧州の一部国家は、移動や経済活動の規制を再導入。中国の一部地域も、ロックダウンを再開。燃料消費の減少や、経済の冷え込みにともなう石油需要後退に対する懸念が強まり、価格上昇を幾分か抑制した。

【12月24日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=73.79ドル※、(前週比2.93ドル高)、ブレント先物(ICE)=76.14ドル(前週比2.62ドル高)、 オマーン先物(DME)=73.54ドル(前週比0.30ドル高)、 ドバイ現物(Argus)=74.59ドル(前週比1.22ドル高)

※24日が祝日だったため、米国のみ23日との比較