お客さまや地域の課題解決へ 新規事業で北陸の発展をけん引

2022年2月6日

【北陸電力】

植物工場事業を行う「フレデリッシュ」、電子回覧板サービス「結ネット」など新規事業が誕生している。

事業領域の拡大を図り、北陸地域の発展をけん引すると共に自社の成長戦略につなげる。

農業従事者の減少や天候不順による野菜の生育不良などの農業が抱える課題への対策の一つとして、屋内で水耕栽培を行う完全人工光型植物工場が注目されている。

「地域の課題解決」、「保有資源と新技術を融合したサービス」を新たな成長事業の開拓分野と定め、事業領域の創出を目指す北陸電力が中心となり、大気社と農林中央金庫と共に、2021年3月に植物工場事業を行う「フレデリッシュ」(福井県敦賀市)を設立した。

敦賀市との包括的地域連携協定締結式の様子

フレデリッシュでは、最新の空調設備や高効率LEDを用いた植物工場システム「ベジファクトリー」を導入。同システムで栽培した野菜は、室内の光や温度、湿度、養液、二酸化炭素などを完全に制御した環境で育てることにより、生菌数が圧倒的に少なく、鮮度が長持ちするため、食品ロスの削減に貢献することができる。

「ゼロカーボン・レタス」 昨冬に敦賀市で初出荷

フレデリッシュでは、21年11月よりレタスの生産を開始した。このレタスは、北陸地域の豊富な水資源により、水力発電が電源構成の約3割を占める北陸電力から調達した「水力発電由来の100%再生可能エネルギー電力」を使用して生産されていることから「ゼロカーボン・レタス」として、同年12月に初出荷された。

セレモニーでプレゼントされたバゲットサンド

初出荷を記念し開催されたセレモニーには、渕上隆信・敦賀市長をはじめ数多くの地元関係者が集まり、初出荷を見守った。参加者には、北陸電力が発案した敦賀市のブランド食材(敦賀真鯛、杉箸アカカンバ、東浦みかん)とゼロカーボン・レタスを使ったバゲットサンドをプレゼントし、地元食材のPRも行った。この取り組みは、21年6月に北陸電力がゼロカーボンシティ宣言をしている敦賀市と締結した包括的地域連携協定に基づくものだ。

今回の初出荷を受けてフレデリッシュ社長の岡義仁氏は「食料の安定供給など社会課題の解決を目指すと共に、敦賀市をはじめとする北陸地域の発展につながるよう、従業員一丸となってこの事業の拡大を図っていきたい」と意気込みを語った。レタスは、業務用としてコンビニのサンドイッチやスーパーの総菜向けに出荷するほか、地元JA(農業協同組合)の直売所でも販売されている。将来的にはレタス以外の野菜の生産も行う予定だ。

初出荷された「ゼロカーボン・レタス」を披露する「フレデリッシュ」の岡社長

地域活動の運営デジタル化 「結ネット」アプリの開始

北陸電力では、創立以来70年にわたり、事業活動を通じて「北陸の発展に貢献する」という思いを脈々と受け継いでいる。長期ビジョンでもありたい姿として「北陸地域と共に発展し、新たな価値を全国・海外へ」を掲げており、地域が抱える課題やニーズに積極的に対応し、お役立ちの精神で地域の発展をけん引している。現在、北陸電力エリアの51自治体のうち23自治体と包括連携協定を締結し、災害対策の強化や観光振興・まちづくり、環境・エネルギー問題への対応など、それぞれの自治体が抱える課題解決に向け、一体となって取り組みを進めている。また、暮らしのお役立ちに貢献するため、21年10月から地域の自治会組織の運営デジタル化を目的とした地域ICT(情報通信技術)プラットフォーム「結ネット」アプリの導入支援・運営事業を開始した。

「結ネット」では、スマートフォンやタブレットのアプリとして、地域自治会の電子回覧板や自治体・店舗からの情報発信ツールとして利用できるほか、災害時には安否確認システムとしての活用が可能だ。クラウド型ポータルサービスで、これまでの自治会・町内会の活動を継承しながら、新しいカタチで活動を維持、サポートしていくものである。

「結ネット」アプリのイメージ

同システムは石川県金沢市にあるCPU社が開発したもので、北陸電力は同社と普及拡大協定を締結し、地元自治体や町内会への提案活動を行っている。また、地域住民の安全・安心な暮らしに向けて「停電情報お知らせサービス」や「住宅見守りサービス」、「AI(人工知能)を用いたクマ出没自動検出システム」といった北陸電力グループ独自のお役立ちコンテンツを順次提供していく。

結ネットのPRを担当する環境・地域共創部の在原真慈課長は、「北陸電力の社員は地域のために何かしたいとの思いが強い。結ネットをはじめ地域のニーズに合ったサービスの提供を通じて、持続可能でスマートな地域づくりに貢献していきたい」と語った。

北陸電力は、電気事業以外においても地域と一緒に発展できる企業をこれからもめざしていく。