【特集2】中国や韓国のニーズに応える 高付加価値機種の開発に注力

2022年3月1日

【トキコシステムソリューションズ】

ディスペンサーを手掛けるトキコは、国内だけでなく中韓にも市場を広げている。低コスト化が進む充てん設備で、今後はデュアル式などの高付加価値化に力を入れていく。

水素ディスペンサーの開発・設計から製造、水素ステーション(ST)に関わるエンジニアリングやメンテナンスを一気通貫で手掛けるトキコ。ディスペンサーはネオライズというネーミングで、最近では東京晴海水素ST、高輪ゲートウェイ水素STなどエネルギー事業者が運用するSTを受注。また、四国では地元民間企業が、独自に建設・運用するSTをサポートするなど、全国にトキコディスペンサーが普及している。

「水素関連設備は本社が販売しますが、保守などの対応は、全国にある当社販売網を活用します。水素STが全国に広がる中、どのような場所でもサポートできる体制にしたい」。営業本部インフラ・エンジニアリング営業部水素グループの中井寛マネージャーは話す。

そんなトキコは今、海外普及にも注力する。エリアは中国や韓国だ。昨夏、中国・上海の「水素ステーション設備展」に出展。そこでは、35MPaと70MPaの二つの圧力に対応する2ノズルタイプの「デュアル水素ディスペンサー」を参考出品で展示した。これまで、安全性や耐久性などの品質管理に厳しい日本で開発しており、中国や韓国の政府や企業からは日本品質製品を評価してもらっているそうだ。

「特に韓国のニーズは旺盛です。国を挙げてSTを整備しています。そのスピードは日本より速いと思います」。販売については、現地の代理店を通じて、ディスペンサー単体の販売を進めている。

大型画面やデュアル式 十分に進んだ低コスト化

3月から東京ビッグサイトで始まる水素・燃料電池展では新たなコンセプトモデルを展示する。昨年の同展では、将来のセルフ式対応のSTも視野に入れた「大型ディスプレイ」モデルを展示。本モデルについて来場したユーザーからヒアリングし、「外観がシンプルになった」「ディスプレイのタッチパネルはガソリン計量器と同じデザインタッチなので分かりやすい」といった評価を得たそうだ。

「ディスペンサーの価格自体はこれまで低下に次ぐ低下で、下がり切っています。今後は『大型ディスプレイ』のようなアプリケーション開発や中国で展示した『デュアルディスペンサー』のような付加価値を高めた開発に移っていくと思います」

高速道路や一般道路、空港や工場など地点ごとに果たすSTの役割は自ずと異なる。デュアル式は、通常圧力のFCV向けや低圧力のフォークリフトなど、異なる圧力の車両に同時充てんできる特徴を持つ。そうしたことから、トキコのデュアル式は、多様な車両が利用するSTにとって最適なディスペンサーとなりそうだ。

FC EXPO2021春モデルの充填機

※1月28日、岩谷産業がトキコシステムソリューションズを買収すると発表しました。