【特集2】POS内蔵水素充てん機でセルフ対応 独自開発のノズルで運営をサポート

2022年3月1日

【タツノ】

充てん機の設置場所に合わせた豊富な製品ラインアップを持つタツノ。アフターサービスにも力を入れ、手厚いサービスを提供する。

タツノのFCV用高圧水素ディスペンサー「HYDROGEN―NX」シリーズは、運営用途に合わせて最適なタイプを選べるよう豊富なラインナップを用意している。国内で多くの水素ステーション(ST)で採用されている「L」タイプをはじめ、複数箇所の水素STで充填運用が可能な移動式の「M」タイプなどがある。フォークリフト専用35Mpaの機種も取りそろえ、市場に合わせた製品展開を進める。国内の約160カ所の水素STでは、タツノ製ディスペンサーが過半数を占めるほど好評を博している。

タツノ製ディスペンサーの大きな特長は、POSを内蔵した非防爆モデルがあるという点だ。国内では限られたスペースに水素STを建設することが多く、POSを内蔵することで省スペース化になるうえ、1カ所で充填と精算ができれば利便性も高まる。

コスト削減の一環として遠隔監視型の無人セルフ水素STで運用する場合にも、このモデルの活用が見込まれる。

もう一つ、タツノ製だけの特長として充填ノズルが自社製という点が挙げられる。ノズルには、より早く安全に水素を充填するために通信を行う赤外線通信受光部(IR受光部)が組み込まれている。IR受光部とノズルの製造元が異なると、IR受光部の故障発生時にはノズルごと取り外し工場に持ち込んで修理を行うため、その間充填ができなくなり、営業に支障を来すことになる。タツノのノズルは自社製のIR受光部を内蔵しており、故障が発生した際に現地での交換が可能。運営者にとっては販売機会の損失が少なくなるメリットがあるわけだ。

POS内蔵の水素ディスペンサーはタツノ製だけだ

サービス面でも安心を提供 FCトラックの登場も視野

タツノは販売後のメンテナンスにも力を注ぐ。ガソリン計量機でも共通するポリシーとして「迅速なメンテナンス」を掲げる。これは国内外共に同様で、特に国内約80カ所のサービス拠点数は業界トップを誇る。水素事業部の小嶋務部長は「できる限りメンテナンスを理由に運営を止めずに済むよう、引き続きアフターサービスに力を注ぐ」と語る。

今後の課題は大量充填への対応だ。業界では、大型トラックに関してはFC化が有望だとされている。EV化ではバッテリーを大量に積む必要があり、荷物の積載量が少なくなってしまうからだ。水素技術開発部の木村潔次長は「FCトラックが登場すれば、大量の水素を短時間に充填することが求められるでしょう。その要望に応えられるディスペンサーの開発を進めたい」と言う。来るFCトラックの時代を見据えている。