環境価値を付加した多様なサービス カーボンニュートラル実現にまい進

2022年3月8日

【北陸電力】

地域のカーボンニュートラルをけん引する北陸電力では、多様化・高度化する脱炭素化ニーズに応える。

豊富な水力発電を生かした電気料金メニューの提供や、太陽光・EV関連のサービスを拡充させている。

 北陸電力は、2019年4月に掲げた長期ビジョンの中で、30年度の再生可能エネルギー発電量を18年度対比で約3割(年間20億kW時)増加させる目標を掲げている。大手電力の水力発電比率は約1割程度のところ、北陸電力の水力発電比率は約3割を占め、従来より再エネ比率は高いが、水力発電所の新設やリプレース時の出力増を進めている。「近年、気候変動問題を中心に脱炭素化への関心が高まっており、その中で、当社の強みである水力発電をしっかり生かしていく重要性が増している」と松田光司社長は話す。

この北陸地域の豊富な水資源を生かした、電気料金メニューの一つが「アクアECOプラン」だ。

このプランは、水力発電100%の家庭向けの電気料金メニューとして20年7月に開始したもので、電気料金メニューとして全国で初めてエコマーク認定を取得。再エネ電気を使いたいといった環境に関心の高い顧客のニーズに応えている。

法人向けにも水力発電100%でCO2排出量ゼロの価値を付加したメニュー「グリーン特約(アクアグリーン)」や、富山県営水力発電所から産み出される電気を活用した「とやま水の郷でんき」の提供を開始。「とやま水の郷でんき」は、富山県内の水力発電所で発電された電気を使用していることを示す証明書を交付しており、再エネを地産地消することで企業価値の向上を図りたいといった顧客ニーズに応えている。

RE100に対応した電気料金メニューや、新規の再エネ発電所の開発を組み合わせた電気料金メニューなど、環境価値を付加したメニュー拡充の検討を進め、今年4月から販売を開始する予定だ。「お客さまの脱炭素化ニーズは多様化・高度化している。これらのニーズにしっかり応えることで地域のカーボンニュートラルをリードしていきたい」と営業本部室の森永知範課長は意気込む。

注目が集まる 太陽光第3者所有モデル

北陸電力グループは、カーボンニュートラルの実現に向け、顧客と共に、再エネ電源を開発する取り組みも進めている。

太陽光PPAサービス導入事例(福井鋲螺株式会社)

その一つが、法人・家庭向け、それぞれに実施している太陽光発電設備の第3者所有モデルによるサービス(太陽光PPAサービス)だ。このサービスは、グループの北陸電力ビズ・エナジーソリューション(北電BEST)が顧客の屋根や敷地に太陽光発電設備を設置し、初期投資ゼロで、発電したCO2排出量ゼロの再エネ電気を顧客に使用してもらうもの。設備のメンテナンスもサービス料金に含まれており、顧客は長期間にわたり安心して利用できる。

また、家庭向けの「Easyソーラー」については、10年間の契約期間満了後、太陽光発電設備は無償譲渡されるため、継続して再エネ電気が使用できる。法人・家庭向け共に、サービス開始から多数の問い合わせや申し込みがあり、顧客の注目を集めている。

また、オフサイトでの太陽光PPAサービスも展開しており、福井県坂井市に新設する太陽光発電所の再エネ電気を、今春から北陸地域のセブンイレブン約300店舗へ供給する。

EVの普及促進など 次々と新サービスを展開

至近ではカーボンニュートラルの実現に不可欠となる電化シフトに向け、EV(電気自動車)の普及サービスも展開している。

「EV導入トータルサービス」のイメージ

21年4月に、EVなどのエコカー購入者向けの電気料金割引特約「環境・エコカー割」を開始。同年6月には、家庭向けに「EV充電設備工事サービス」を、同年7月には、自治体や法人向けに、「EV導入トータルサービス」を開始するなど、次々とサービスを打ち出している。「EV導入トータルサービス」は、初期導入費用負担なしでEVが利用可能で、稼働状況を踏まえた所有車両の最適化、専用アプリによる利用者の利便性向上や車両管理業務の効率化を図ることができる。また、EVを蓄電池として活用することにより、顧客の電力需要のシフトや停電時の非常用電源としても利用可能となる。  北陸電力グループは、引き続き顧客の脱炭素化ニーズにしっかりと応えてお役に立てるよう、さまざまなサービスを提案し、顧客や地域のカーボンニュートラルを推進する企業をこれからも目指していく。

北陸電力グループが展開するカーボンニュートラルに向けた各種サービス