粒ぞろいの2021年度省エネ大賞 最高賞に工業団地スマエネ事業など

2022年3月12日

【省エネルギーセンター】

 国内の企業や自治体、教育機関の優れた省エネ推進事例や製品、ビジネスモデルを表彰する省エネ大賞。昨年12月に2021年度受賞者が発表され、120件以上の応募の中から省エネ事例部門で32件、製品・ビジネスモデル部門では28件が受賞した。

「ENEX2022」で受賞内容を展示

省エネ事例部門で最高位の経済産業大臣賞を受賞したのは、栃木県と東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)、県内3社7事業所が連携し宇都宮市の清原工業団地で展開するスマートエネルギー事業だ。電力と熱を複数事業所で連携利用することで、事業所単独で使用するよりも、約20%の省エネ、省CO2を達成している。

TGESのスマエネセンターには高効率の大型ガスコージェネレーションシステム6基、蒸気ボイラー7基と太陽光発電システムが導入されており、災害時に停電が発生した際にも、都市ガスを燃料に自立発電し、各事業所に電気と熱を継続して供給することができる。工業団地による高効率エネルギー利用の先駆けとして、全国への普及拡大が期待できると高い評価につながった。

省エネ事例部門ではこのほか、トヨタ自動車高岡工場の省エネ活動など4件が最高評価を受けた。

利用者のDR参加意欲促進 先駆的な取り組みと評価

製品・ビジネスモデル部門では、ソフトバンク子会社のSBパワーが展開する家庭用デマンド・レスポンス(DR)サービス「エコ電気アプリ」が経産大臣賞を受賞した。電力小売り事業者がアプリを通じて利用者に節電を呼びかけ、利用者は節電成功に応じたポイントを受け取る仕組みで、利用者の参加意欲を促し、節電意識を高めるとともに、電力事業者側を電力のピークカットとコスト削減につなげた。

20年12月からの4カ月間に3万2000世帯が参加し、合計23万kWの節電効果を挙げている。これが先駆的なDRサービスとの高評価につながり、製品・ビジネスモデル部門に新設された「省エネコミュニケーション分野」での受賞を果たした。

製品・ビジネスモデル部門ではこのほか、パナソニックの「給水フリー加湿&新ナノイーX」搭載エアコンなど五つの事例が経産大臣賞を獲得した。

1月26日に東京ビッグサイトで開催予定だった表彰式と受賞事例発表会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった。しかし、1月26~28日に開催された「ENEX2022」の受賞事例の紹介コーナーには、省エネへのヒントを得ようと多くの業界関係者が訪れ、注目度の高さがうかがえた。