【マーケット情報/3月11日】欧米原油が反落、増産検討が重荷

2022年3月14日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、米国原油の指標となるWTI先物および北海原油を代表するブレント先物が下落。産油国の増産検討により、週後半、価格が反落した。

イラクは西クルナ2油田での定修を短縮し、8日に再稼働させた。本来、3月末までの停止を計画していたが、在庫の逼迫で変更を余儀なくされた。また、同国は、ロシア産原油の供給減見込みを背景に、欧州、中国、インドなどの買い手から増産要請を受けている。

ベネズエラは、米国と協調して増産可能と発表。ロシア産原油の減少分をカバーするとの意向を示した。また、アラブ首長国連邦(UAE)は、OPECプラスに追加増産を呼び掛けると表明。欧米原油の価格に対する下方圧力となった。ただ、UAEはその後、OPECプラスが定めた日量40万バレルの増産枠に準じるとの発言もしており、対応は先行き不透明となっている。

8日時点で、WTI先物は123.7ドル、ブレント先物は127.98ドルとなり、2008年7月下旬〜8月初頭以来の最高値となった。米国はロシア産原油の輸入停止を発表。英国も、今年中にロシアからの原油および石油製品の購入を停止する計画で、価格は引き続き、高止まりするとの見方が大勢だ。

中東原油の指標となるドバイ現物は上昇。9日時点で128.2ドルを付け、2008年7月下旬以来の最高を記録した。OPECプラスの2月産油量は日量3,825万バレルとなり、前月からは増加したものの、目標である日量3,914万バレルを下回った。OPECプラスは、ロシア産原油の不足分を補うのは困難であるとしている。また、価格高騰は、供給逼迫ではなく地政学的リスクによるものとしており、追加増産自体に消極的だ。

【3月11日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=109.33ドル(前週比6.35ドル安)、ブレント先物(ICE)=112.67ドル(前週比5.44ドル安)、オマーン先物(DME)=110.56ドル(前週比1.69ドル高)、ドバイ現物(Argus)=109.66ドル(前週比0.40ドル高)