【特集2】多様化する通信環境を安全運用 制御系を守るSIMを開発

2022年5月3日

【NTTコム】

近年、ネットワークにつながるデバイスを狙ったサイバー攻撃が増加している。NTTコミュニケーションズはセキュリティー機能搭載のSIMを開発し制御系の安全を守る。

商用化が進む5G(第5世代移動通信システム)は4Gと比較して、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という特長を持つ。

多様なニーズに応じられるよう、通信事業者によるサービスとは別に企業や自治体などが自営の5Gネットワークを構築できるローカル5G制度が整備された。これにより工場やプラントでもローカル5Gを構築し、ドローンによる遠隔警備や点検、巡視ロボットなどを導入してDXを加速させている。

SIMにセキュリティー内蔵 ITもOTもトータルで守る

5GはWi―Fiを使用した通信に比べ盗聴や改ざん、なりすましが難しいというメリットがある。だがSIM(加入者識別モジュール)を不正利用されたり機器が乗っ取られたりするリスクはある。

製造機器などのOT(制御系)デバイスは、機器の仕様によりセキュリティーソフトを導入できないことが多い。同社は、セキュリティー機能を搭載した「eSIM」をトレンドマイクロ社と共同開発した。あらかじめeSIMとOTデバイスの正しい組み合わせを登録しておけば、eSIMが別のデバイスで使用されるとサーバーから管理者に通知が届く。不正な通信を検出すれば遠隔で通信を遮断することもできる。セキュリティーソフトを組み込めなかった機器も安心してネットワークにつなげるようになる。

だが、気を付けなければならないのは、新しい通信やシステムの導入が進むと接続するデバイスが増え、ネットワークが多様化、複雑化していくことだ。ランサムウェアはこうしたネットワークの脆弱な部分を狙って侵入し、システムを乗っ取り高額な身代金を要求する。特定の企業を狙う標的型サイバー攻撃も国内外で増えている。

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)はこうした攻撃に対し、IoT/OTデバイス、ネットワークのセキュリティーを強化。工場や重要インフラを支える制御システムをどう守るかについて、全体を統合したセキュリティーを提案する。

スマートファクトリー推進室の村上佳子担当課長は、まず現状を把握し評価するアセスメントを行い、次にリスクに対する対策を施し、さらに24時間365日の監視体制で攻撃に早期に対処できる仕組みを作ることが重要だと強調する。NTTコムはこれらサービスを一気通貫で提供している。

大手電力からは送配電設備も含めてどう守っていくかという相談も受けている。同社は複雑化する工場やプラント内のネットワークセキュリティーを底上げし、運用までをサポートしていく構えだ。

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産業用OTの導入によりつながる制御システム