停電エリアをマップ上に表示 災害時の要援護者支援を速やかに

2022年5月4日

【中部電力パワーグリッド】

 中部電力パワーグリッドは、インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する在宅医療介護連携プラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」と連携し、同サービス上に中部電力管内の停電エリアを重ねて表示できるようにした。

同サービスのオプション「災害時連携」システムでは、疾患がある障害者や高齢者(要援護者)の位置情報を把握できる。今回、災害時連携システムと管内の停電情報を連動させたことで、要援護者の位置情報と停電情報を地図上で重ねて表示できるようになった。

これにより、停電エリアに人工呼吸器や酸素吸入器などを必要とする要援護者がいるかを地図上で把握でき、行政や医療従事者などによる、電気が必要な要援護者への速やかな対応が可能となる。

IIJ電子@連絡帳サービスは医師、看護師、薬剤師、介護ヘルパー、ケアマネジャーなど在宅医療に関わる多様な専門職が情報共有するためのクラウド型プラットフォーム。IIJは中部電力パワーグリッドが自社ウェブサイトで公開する停電についての最新情報を数分間隔で取り込んでいくよう機能を拡張した。

災害時連携イメージ
出典:株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)

台風被害の教訓で導入 蒲郡市が使用を開始

要援護者の位置情報と停電エリア情報を重ねる機能は、全国に先駆けて愛知県蒲郡市が今年3月1日から運用を始めた。同市では、地域でのデジタル活用に積極的に取り組んでいる。

18年9月の台風24号の停電被害を受け、「蒲郡電源あんしんネットワーク」を展開。医療機器による在宅治療者を対象とした情報登録と支援体制整備を進めている。今回の機能利用もその一環だ。蒲郡市の鈴木寿明市長は「停電情報の連動が防災や見守り支援につながることを期待している」と話している。

現在、愛知県内の市町村をはじめとする全国70自治体が、電子@連絡帳サービスを導入。うち中部電力パワーグリッドエリアでは、愛知県のほかに三重県、長野県など管内の55自治体が利用し、地域の在宅医療・介護連携推進事業に活用している。

中部電力パワーグリッドとIIJは、今後、これらの自治体に対し、停電情報を加えた災害時連携システムの導入を推進していく構えだ。