地域社会に選ばれ続ける企業へ 五つの取り組みに挑戦する

2022年5月8日

【東邦ガスネットワーク/伊藤 克彦社長】

いとう・かつひこ 1982年名古屋工業大学工学部卒、東邦ガス入社。広報部長、企画部長、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て2022年4月から現職。

―新会社発足に合わせ「ビジョン」を策定しました。

伊藤 ビジョンの中で、2030年代半ばまでに目指す企業像として、「導管事業のさらなる成長」「導管エンジニアリングの発展」「地域貢献」の三つを当社が果たすべき役割として掲げ、その実現に向け「時代が求めるエネルギーの供給」「揺るぎない安定供給と安全の追求」「先進技術による現場の革新」「広範なエンジニアリング事業の展開」「持続的社会への貢献」という五つの挑戦を設定しました。

 これらの挑戦は、東京ガスネットワーク、大阪ガスネットワークとも連携し、より効果的・効率的に進めます。取り巻く環境は激変していきますが、地域社会の皆さまに選ばれ続ける企業となり、公益事業者としての責任を果たしていきます。

―地域のガス市場活性化にどう取り組みますか。

伊藤 地域に根差した導管事業会社として、「都市ガス輸送量の拡大」と「カーボンニュートラルへの挑戦」に注力します。当社の供給エリアである東海3県は、自動車産業をはじめとするものづくりの集積地であり、名古屋市中心部での再開発や東海環状自動車道の整備が計画されるなど、今後も経済・産業が発展しガス需要開拓の余地が十分にあります。

 より低炭素な天然ガスの普及拡大への期待に応えるためにも、導管投資を引き続き積極的に行い輸送能力を強化します。また、将来の脱炭素社会の実現に向けては、水素ローカルネットワークに対応するインフラ建設や保安体制の整備、メタネーションガスの導入を目指します。

揺るぎない安定供給確保へ 熟練技能と最新技術を活用

―供給の安定性、効率性向上への対応は。

伊藤 安定供給と安全・安心の確保はガス事業の基本であり、成長を支えていく上での一丁目一番地です。これらを支える「ヒト」の専門知識や熟練技能を着実に伝承しつつ、最新技術やデジタル技術を活用し、揺るぎない安定供給をより効率的に実現していきます。例えば、経年管対策では、米ベンチャー企業のFracta社と共同開発した「ガス管劣化予測アルゴリズム」を活用し、対策の優先順位付けと絞り込みを行います。このほか設備点検の膨大なデータを蓄積し、これまでの予防保全からAIによる予知保全へと高度化し、維持管理の高度化を図ります。

―導管会社に求められる新たな取り組みとは何でしょうか。

伊藤 収益基盤を広げていくため、積極的に展開していこうとしているのが導管エンジニアリングです。これまで培ってきた独自の非開削工法や、グループ会社や協力会社の豊富な経験を生かし、当社ならではの導管エンジニアリング力を他のガス事業者にとどまらず、地域の水道ネットワークの建設・維持管理の分野などにも展開し、地域のインフラの老朽化対策や建設業界全般の人手不足といった社会課題の解決へも貢献していきます。