2050年CO2削減へ行程表 企業にゼロカーボンパッケージを提案

2022年6月6日

【関西電力】

関西電力は社会全体のCO2排出量削減を目指すロードマップを作成した。

業務・産業分野の「ゼロカーボンパッケージ」などを通じて社会のCO2削減に貢献する。

 関西電力は、昨年策定した「ゼロカーボンビジョン2050」実現の具体策として、2030年度時点の目標や道筋を示した「ゼロカーボンロードマップ」を今年3月に発表した。ロードマップには、ゼロカーボンビジョンで書かれた「デマンドサイド(需要側)のゼロカーボン化」「サプライサイド(供給側)のゼロカーボン化」「水素社会への挑戦」の3本柱を「関西電力グループ自ら取り組むこと」「お客さまや社会の皆さまと取り組むこと」に整理し、それぞれどのように取り組みを進めるかを記載。関電グループだけでなく、顧客や事業パートナー、自治体と連携しCO2削減目標を達成する道筋が示されている。

関電が提案する「ゼロカーボンパッケージ」

CO2削減のロードマップ 30年度に向け目標を設定

ロードマップ内の「30年度に向けた削減目標」では、関電として発電によるCO2排出量を25年度時点で13年度比半減、以降削減率トップランナー水準を実現することや全ての社有車の電動化に取り組むと表明。それに加え、顧客に届ける電気のCO2排出量削減に貢献するとした。電力のCO2排出係数をトップランナー水準とすることや各種サービス提供を通じて社会全体の排出量を700万t以上削減する目標を設定。700万tのCO2は、関西エリアの削減想定量の約3割に相当するという。

発電によるCO2排出量削減に向けては「再生可能エネルギー」「原子力」「ゼロカーボン火力」「水素」の各分野で取り組みを推進する。再エネ分野では40年までに洋上風力を中心とした国内1兆円規模の投資を行い、再エネを主力電源化。国内新規500万kw、累計900万kw規模の電源開発を推進する。原子力では、安全安定運転の継続と再稼働の着実な推進、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)などのリプレースに取り組むほか、火力ではCCUS(CO2回収・利用・貯留)技術の導入や検討を進め、水素の海外調達・国内製造にも力を入れる。

社会全体の排出量700万t以上削減に向けては、①省エネ(省エネ機器の導入や最適制御でのエネルギー消費量減)、②電化(化石燃料機器から電気機器へ置き換え)、③創エネ・蓄エネ(太陽光などで電気を創る)、④オフセット(CO2フリー電気料金メニューへの置き換え)―に取り組む。

計画策定から具体策の実行まで包括的に手掛ける

「パッケージ」で企業に提案 企業側の選択肢の多さ魅力

特筆されるのが、業務・産業分野の企業向けサービス「ゼロカーボンパッケージ」だ。これまで全国の製造業、物販業など法人企業を相手に、「太陽光発電オンサイトサービス」やエネルギーマネジメント、CO2フリーの電気料金メニューなど脱炭素を支援するサービスを提供。「ゼロカーボンパッケージ」では、企業の脱炭素目標に応じて、計画策定のコンサルティングから各サービスを組み合わせた具体策の実行まで包括的に提供。企業ごとのニーズや取り組みフェーズに合わせて脱炭素化をトータルでサポートする。

「包括的なパッケージにすることで、よりお客さまごとの特性に応じてカスタマイズしたご提案ができるようになります」と、営業部門法人ソリューショングループの中谷和樹課長は話す。

これまで19年の太陽光発電オンサイトサービスをはじめ、21年7月には、関電エネルギーソリューションと共同開発した空調制御サービス「おまかSave-Air」などをリリースしてきた。「脱炭素を支援するサービスのラインアップがそろっていること、電力会社として従来より培ってきた、エネルギーマネジメントに関する知見がわれわれの強みです。全国のお客さまに対し、上流(計画策定)から下流(具体策の実行)までワンストップでご支援させていただくことが可能です」(中谷課長)。CO2削減のポテンシャルを示すことで企業側も取り組みのイメージがしやすい。豊富な知見とノウハウを持つ関電ならではの「選択肢の多さ」が魅力だ。

パッケージの提案は、①現状把握(現在のエネルギー使用量と使用設備、およびそれらの構成比率のヒアリング)、②ロードマップ策定(目標年までの削減のポテンシャル、費用対効果を見える化し、取り組みの優先度を提示)、③具体策の実行(ロードマップに沿った具体的な削減方策を提案)、④効果検証アップデート(削減実績や技術進歩を踏まえロードマップ更新)―の順で進める。営業部門法人ソリューショングループの小出健人副長は「脱炭素に先進的なお客さまを中心に、ご好評をいただいております。お客さまと共にゼロカーボンの実現に取り組んでいきたい思いです」と話す。

国内のみならず、タイやベトナムといった海外に拠点を持つ日本企業に対してもゼロカーボン化のサポートを実施している。脱炭素化待ったなしの世界情勢の中、関電のサービスが日本企業のCO2削減の一翼を担っていく。