暮らしの課題を浮き彫りに リフォームを繰り返す集合住宅

2020年12月30日

大阪ガス

住宅関連のさまざまな実験を行ってきた「NEXT21」では
何度もリフォームを繰り返している。
時代とともに変化する住戸や生活スタイル、
環境、エネルギー、社会問題などがここから見えてくる。

実験集合住宅「NEXT21」

大阪ガスの実験集合住宅「NEXT21」は、環境、エネルギー、暮らしなど、さまざまなテーマを設けて造られた住戸が集積した施設で、同社の社員が生活し、実験・検証に協力している。同施設は時代の要請に応じ、適宜テーマを変え、居住実験が続けられてきた。いくつかの住戸では、壁の移設を含む大規模なリフォームが行われてきた。

何度も実施する造り替えに耐えながら、自由度の高い住戸設計に対応するため、NEXT21は建築構造にスケルトン・インフィル方式を採用する。骨格となるスケルトン(構造躯体)は頑丈なコンクリートが使われ100年以上の耐久性を有する。インフィル(住戸・内装)は自由に移動・交換が可能。外壁の位置も変更できる。ガスや上下水道の配管は共用廊下の下部のスペースに納められており、キッチンや浴室など水回りがどの位置に設計されても自由に配置できるのが特長だ。

長年、NEXT21に携わるエネルギー文化研究所の加茂みどり主席研究員は「NEXT21が建設された1990年代は住宅設備でビルドインが一気に進んだ時代。エアコンが天井に埋め込まれ、パネルヒーティングが設置されるなど、住まいを建設する段階で設備のことを考える必要がありました」と当時を振り返る。

一方、この数年は電力小売り全面自由化によって、エネルギーを取り巻く環境は大きく変わった。「お客さまは目指すライフスタイルや住みたい家を実現するために、どのようなエネルギーが必要なのか、という視点でも事業者を見ています。そうした時代にも選ばれていくための検証という側面もNEXT21は担っています」と、エナジーソリューション事業部環境・政策チームの纐纈三佳子マネジャーは、同施設で実証する意義を強調する。

部屋を自由にレイアウト 数世帯が緩やかにつながる

NEXT21の住戸はさまざまなテーマを基に造られている。最新住戸の「自在の家」は、五つの室空間を住む人に合わせて自在に結合・独立することが可能。文字通り、一つの大きな家として、五つのワンルームとして、シェアハウスとして、壁や建具、可動式間仕切り家具などを利用して自由にレイアウトを変えることができる。実証では、入居した数世帯の家族や人が入れ替わるごとに住戸が変化するシナリオを想定。これに合わせて、レイアウトや使用ルールを変えていく。

「自在の家」のキッチン。部屋のレイアウトは自由に変えられる

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