省エネルギーとコスト低減の実現へ 寒冷地型ZEBの提案活動を積極展開

2021年3月6日


既に、札幌市の大型商業施設「メガセンタートライアル伏古店」(20年に完成)をはじめ9件のコンサル実績があり、今後も事務所ビルなどの複数の計画が控えている。自治体への提案活動も積極化しており、オホーツク地方の美幌町が「新時代の環境配慮型新庁舎」をコンセプトに、他の自治体に先駆けて導入を決定し、今年2月に「ZEB庁舎」が誕生したばかりだ。
この庁舎は、寒冷地の特性に合わせ、地中熱ヒートポンプシステムなどの技術を導入することでZEBを実現している。これに続き、22年には十勝地方の大樹町役場庁舎がZEBとして新築される予定だ。

大規模商業施設としてZEBを実現したメガセンタートライアル伏古店


積雪寒冷地である北海道は、暖房のエネルギー消費量が多く、建物の気密性・断熱性、暖房システムの省エネ性がシビアに求められる。北海道電力は19年2月から、北海道大学やハウスメーカーなどで構成する6者コンソーシアムに参画し、地中熱を利用した寒冷地向けのZEBの普及拡大に向けた技術開発・実証事業を進めてきた。
実証は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー熱利用にかかるコスト低減技術開発」の助成事業に採択されており、23年度までに、寒冷地向けZEBのコスト削減に資する技術開発することなどを目指している。

寒冷地型ZEBの普及貢献で 北海道経産局から表彰

同社ではこのほか、ビジネスイベントへの出展やセミナーでの講演などを多数実施し、自治体やビルオーナー、設計会社などへのZEBに関する情報提供にも力を入れている。こうした取り組みが評価され、今年1月には、経済産業省北海道経済産業局の「令和2年度北国の省エネ・新エネ大賞」を受賞した。
同社は昨年公表した30年に向けた経営ビジョンで、北海道の地域と共に新たな価値を創り上げる「共創」の考えに基づき、地域における課題解決やESG(環境・社会・統治)を重視した取り組みに力を入れていくこととしている。ZEBの普及活動についても、「脱炭素社会の実現に貢献するもの」と位置付けており、ZEB時代の実現に向け今後もまい進していく考えだ。

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【インタビュー】


営業担当者に聞くほくでんのZEBの魅力

コンサルティングを中心に着実にZEBの提案実績を伸ばす北海道電力。営業の最前線を担う、電化ソリューションセンターシステム提案グループの寺島崇史・総括主任と地家崇規主任に同社が提案するZEBの魅力を聞いた。

電化ソリューションセンターの寺島氏(右) と地家氏(左)

―ZEBプランナーに登録されて3年が経ちますが、これまでの取り組みの手ごたえは。


寺島
 これまで北海道では、積雪寒冷という気候から、ZEBに対して「技術的に難しい」「イニシャルコストが高い」「設計などで手間が増える」という印象を多くの方が持っていました。しかし、国の補助金の活用や、エネルギーの専門知識を持った弊社が設計などの技術面でサポートし導入へのハードルを下げることで、着実に実績を積み上げてきました。

―どのような建築物への導入に向いていますか。


地家
 これまで主に、事務所ビルや商業施設などに採用され、導入されたお客さまには好評をいただいています。最近では、カーボンニュートラルの機運の高まりを受け、太陽光発電などの再生可能エネルギーを有効活用したいという観点から多くのご相談が寄せられています。

―ZEBの導入を検討している方にメッセージを。


寺島
 弊社では、常にZEBに関する最新の知見・動向について情報収集しており、これまでに培ってきたエネルギー利用に関するノウハウを駆使してお客さまへ魅力あるご提案をさせていただきます。ぜひ、お近くのほくでんへお気軽にご相談ください。

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