再エネ連系拡大で脱炭素社会に貢献 公益性を追求し社会の期待に応える

2021年5月4日

―大手電力会社系の発電事業者以外の参加状況は。

平岩 4月1日時点の登録会員数は24で、大手電力会社系のみならず、デマンドレスポンス(DR)を手掛けている事業者も含まれています。開始以前も説明会などを実施してきましたが、参加者を増やしより厚みのある市場にするためにも、引き続き、取引会員やポテンシャルのある事業者への十分な情報提供やルールの周知を行っていきます。

新たな社会便益を追求へ 託送料金制度を刷新

―レベニューキャップの導入を見据えた託送料金制度改革が進んでいます。

平岩 電力需要の動向によらず、設備の高経年化は着実に進んでいきます。そうした環境下においても、安全性を担保しレジリエンス(強靱性)と効率性を向上し、再エネの連系量を拡大することで、送配電網の「S+3E」を実現していかなければなりません。

 送配電費用を最大限に抑制しつつ、必要な投資が着実に行えるようにするために、2023年度をめどにレベニューキャップが導入されることになりました。国民の利益につながるような制度にしていかなければならず、既にこの仕組みを導入している諸外国の事例を検証しながら、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会といった所管官庁と連携しながら取り組んでいきます。

―再エネの導入が拡大すると、その対応が必要になります。

平岩 送配電設備の増強が欠かせませんから、そのための対応が必要になります。需要地で、再エネなど分散型のリソースが増える場合、電気の流れもこれまでとは大きく変わります。この変化を受けて送配電事業者は、次世代型のネットワークを構築するとともに、調整力を含めた運用面でも対応していくことが求められることになります。

再エネ拡大で送配電設備の増強が欠かせなくなる

 また、脱炭素、デジタル化の観点からは、送配電事業者がプラットフォーマーとなり新しい価値の創造に取り組むことも重要です。日本全体のSDGs(持続可能な開発目標)への貢献につなげることが、インフラを担う送配電事業者の新たな役割です。

 事業活動の幅が広がる中で、効率化を不断に追求し託送料金の抑制に努める一方で、新しい社会便益の追求にかかる費用については、新たな制度の下で着実に回収していかなければなりません。

 お客さまやステークホルダーにご理解いただくためにも、送配電事業者がこうした新たな事業領域に踏み入ることで世の中をより良くするとともに、社会課題の解決につながるというメッセージを発信していきます。

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