動き出したEV充電ビジネス 脱炭素を足掛かりに事業化加速

2021年8月10日

【デルタ電子】自社設備のショールーム 運用の知見を多方面に活用

デルタ電子の横浜市内にあるEVステーションがユニークだ。

決済システムを開発するなど、他にない取り組みを行っている。

デルタ電子は独自の次世代型EVステーション「Delta EV Charging Station(Yokohama)」を昨年8月にオープンした。急速充電器、V2B(ビークルtoビルディング)対応充放電器をはじめ、蓄電池、パワコン、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、決済サービス「EZQC」など、自社のEV関連設備を多数導入したショールームのような拠点となっている。

ステーション内にはカフェを併設して充電中くつろげる

充電器は国内規格のCHAdeMOと欧州規格CCSに対応したDC25 kWの急速充電器が3台ある。充電器は地面から設置した形をしているが、上部が充電器、下部がスタンドで、壁掛け設置も可能。設置場所を選ばないのが特徴だ。

充電設備に用いる電気は系統から供給を受けており、いったんパワコンと約50 kW時の蓄電池で構成するバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を経由して急速充電器に入る。電気の流れをEMSで管理することで、蓄電状況からEVへの充電電力を制御し、ピークカットやピークシフトを行い、EVステーション全体の省エネと負荷平準化を図っている。

EVステーションには、V2B対応の充放電器も1台ある。充電に加え放電を行い、併設するカフェに電力供給や、BCP対策に寄与する仕組みになっている。

独自の決済アプリを運用 簡単かつ迅速に充電可能

また、充電時の決済には独自サービスのEZQCが使われている。従来の充電サービスと異なり、手続きや充電カードの申請も一切必要ない。専用アプリをスマートフォンにダウンロードして支払い情報を入力すれば、約3分で充電を開始できる。支払いはコード決済やクレジットカードに対応する。 同ステーションでは充電が開始されると併設するカフェでコーヒーが1杯無料で飲めるクーポンが付与される。充電が完了するとアプリ経由で通知が届く仕組みになっている。

シェ・ユンホウ・IoT & e-Mobility事業開発部ゼネラルマネージャーは「同ステーションを通して、当社の設備やプラットフォームを利用してもらえたらと考え、運営しています。多く人に訪れていただき、EV設備を体験してほしい」と話す。

シェ・ゼネラルマネージャーと急速充電器

同ステーションは横浜市内にあり、中華街や横浜スタジアムなどが近く、平日は周辺に勤務するサラリーマン、休日は観光客が行き交う好立地にある。徐々に認知されつつあり稼働率も上がってきているとのことだ。同社では、ステーション運用で得た知見で、新たな拠点をパートナー企業と建設する計画もある。シェゼネラルマネージャーは「今後もEV普及に向け、EV関連設備で貢献していきたい」と抱負を語った。

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