【TOKAIHD 鴇田社長】HD制成功の10年を振り返る 築いた基盤でさらなる飛躍目指す

2021年11月11日

≪2050年ゼロに向けた指針 まずは住宅向けの脱炭素化図る≫

TOKAIホールディングスは5月、2050年に向けたカーボンニュートラルビジョンを策定した。

その前段には30年目標がある。ここではCO2排出量20年比半減を目指す。

昨年10月の菅義偉前首相のカーボンニュートラル(CN)宣言以降、ガス業界でも動きが活発だ。TOKAIホールディングスは今年5月、LPガス小売り事業者の中でいち早くCNビジョンを発表した。

まず同社は、CNビジョンの取り組み方針を掲げた。①「グループ全体で50年のCN達成」を軸として、②30年までに家庭向けでCO2を20年比で50%減の17万t削減、自社の事業活動で同70%減の1.3万t削減を目指す。さらに、③CN対応は未来に向けた成⻑の機会と位置付け、再⽣可能エネルギー、⾼効率ガス機器や蓄電池を組み合わせた住宅の脱炭素化を推進。新しいエネルギー利⽤を提案していく。一方で、災害対応などのレジリエンスにおいては、ガスは引き続き重要な役割を果たすと位置付けている。

②家庭用では、高効率給湯器エコジョーズの導入拡大で5万t削減、エネファームの導入拡大で2万tの削減を目指す。特に、エコジョーズは光熱費削減など、消費者にとってもメリットがある。そうした点をアピールして、標準的にエコジョーズを採用してもらう方針だ。

また、太陽光発電も事業の柱にすることを目指す。PPA(電力購入契約)モデルを活⽤し、住宅に無償で太陽光発電設備を設置。再エネ固定価格買い取り制度(FIT)による余剰売電、自家消費用に割安な電気とメンテナンスを提供するなど、積極展開する。30年までに4万8000世帯に設置し、CO2排出量10万t削減を目指す。

T&Tエナジーでガス販売とともに再エネプランやPPA導入を推進していく

脱炭素はビジネス機会 サブスク型モデルを準備

③のCNを新たなビジネス機会と捉えた脱炭素の推進において、同社では、今後エネルギー事業者のビジネスモデルが大きく変わると見ている。このため、今回のCNビジョンは、「太陽光発電、電気自動車、蓄電池が標準装備になるときのエネルギー会社」を念頭に策定したとのことだ。豊國浩治グループ経営戦略本部長は「エネルギービジネスは、化石燃料を販売する事業から、太陽光発電や蓄電池、給湯器など、エネルギーをつくったり、貯めたりする設備をお客さまに設置してもらい、サービスを提供していくようなサブスク型に変わっていくと見ています。お客さまとってもメンテナンスを含めたサービス提供の方が安心して利用していただけます。これまでも、TOKAIグループではリース事業を手掛けていますが、さらに戦略的に推進していきたい」と、30年に向けた展望を語る。

その事業において象徴となるのが、東京電力エナジーパートナーと共同出資して設立した電力と都市ガスの小売り事業会社「T&Tエナジー」だ。CNの全体像を考えると電力との組み合わせは不可欠。そこで、電力事業によって、再エネを既存のビジネスモデルにどう取り入れていくか、新たな電力プランの創出、太陽光発電の導入方法、LPガスとの組み合わせなどを検討。その際、ハイブリッド給湯器の導入も進めていく。太陽光発電や蓄電池の組み合わせによって最適なエネルギーの使い方を提案していく構えだ。

TOKAIホールディングス

設 立:2011年4月1日、売 上 高:1967億2600万円(2020年度)、営業利益:152億2600万円(2020年度)、事業内容:LPガスを中心とするエネルギー事業、通信事業などを行う子会社などの経営管理など

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