【特集2】室内からアウトドア向けまで ガスを使った嗜好品の数々

2022年2月3日

カートリッジガス商材の販売拡大 屋内外や防災ニーズに応える

岩谷産業】

カセットボンベを使った手軽に使えるガス商材。岩谷ではラインナップを増やしてニーズを満たす。

岩谷産業が手掛けるカセットボンベを使ったカートリッジガス商材が好評だ。製品群は30種にもおよび、年間300万台を売り上げる。昨今ではキャンプ需要へ対応したり、アメリカの一般消費者向け市場へ進出を果たすなど、多様なニーズを満たしながら、カートリッジ商材のさらなる市場を開拓している。

画期的なオリジナルブランド アメリカ市場への進出

まず注目されるのは、既存のカートリッジガス商材と一線を画す、アウトドアオリジナルブランドの「FORE WINDS(フォアウィンズ)」だ。「風と共に…」をイメージした造語で、自然と共生していくという想いを込めたもの。1995年に立ち上げたブランドだが、昨年に25年以上の時を経て「機能的で良質なデザイン」を新たなコンセプトに加えてリニューアルを果たした。

コンパクトで折り畳むことができる

例えばこのブランド商品である「フォールディングキャンプストーブ」の機能の特徴について、総合エネルギー事業本部カートリッジガス本部の稲田健一郎お客様総合サービス部長はこう話す。

「コンパクトな折り畳み式で持ち運びが容易です。また付属のステンレス製のヒートシールドがテーブルの汚れや輻射熱によるダメージを抑える工夫を施しました」

再ブランド化には、若手中心の人員で1年くらいの時間をかけて取り組んだという。スタイリッシュなデザインと設計は、従来のカセットコンロの概念を覆すような画期的なもので、グッドデザイン賞を受賞している。

そんな岩谷が、国内だけでなく海外の市場にも注目し、昨年進出したのがアメリカだ。

「カセットボンベを使った機器は、これまでホテルやレストランのブッフェなどの業務用途が中心でしたが、コロナ禍で飲食店利用が制限されている中、アウトドア用途としてカセットコンロが注目され始めていることからアメリカ販売を決めました」と、販売のタクトを振る羽野一作東日本営業部長は話す。

岩谷が家庭用のコンシューマー商品をアメリカ市場で展開するのは初めてのこと。現在、米国仕様への認証をクリアした国内製造品を輸出している状況だ。販売については、現地の駐在員が販売先確保に奔走中で、アウトドア小売店で全米最大級規模を持つREI社で取り扱いが始まった。また台湾やマレーシアなどアジア圏で販売も開始し好調だという。

一方、フォアウィンズとは異なる既存のラインナップはどうか。野外でも十分に火力を生かせる防風対策用の「風まるⅡ」、ダッチオーブンなどの耐荷重性に優れた「タフまる」、2口バーナーの「グリルスター」や「フラットツイン・S」などいくつもの商品を取りそろえている。

ほかにもカセットガスファンヒーター「風暖」、たこ焼きが楽しめる「炎たこⅡ」、煙の発生を少なく抑える焼き肉グリル「やきまるⅡ」など商品群は多種多様だ。このやきまるⅡの「スモークレス」は、岩谷ならではの技術を発揮している。特許取得の独自構造で、焼き面温度を約210~250℃にコントロールするとともに、肉から出た脂を水皿に落とし、高温化させないことで煙の発生を抑える、ユーザー目線に立った改善をしてきた。

極めつけは、屋外でも利用可能な炊飯器「HAN―go」だ。火力調整不要で炊き上げと同時に自動消火するスマートな製品だ。

「アウトドア向けだけではありません。例えば農業関係の方々からは畑仕事中に野外で炊き立てのご飯を食べたいといったニーズがありますし、自治体からは災害時に使いたいといった要望があります」(羽野部長) 岩谷発のカートリッジ商材には屋内・屋外、防災用など多様なニーズを満たす機能が詰まっている。

農業や災害用途にも利用できる

1 2 3 4