鬼首地熱発電所をリプレース 末永く地元と共存できる存在に

2022年2月13日

【インタビュー/茅野智幸 鬼首地熱発電所所長】

コロナ禍をプラスに転じる これからも地域に愛される発電所に

――リプレース工事が中盤です。2年半を振り返っての感想は。

茅野 最後の5本目の生産井を掘り当て、発電所本館と制御棟も姿を現し、発電所の全体像がようやく見えてきました。発電設備も工場製作が順調に進んでいます。

 おととしからのコロナ禍では工事に大きな影響がありました。海外の技術者が入国できず掘削チームを思うように組めなかったため、工事が一時止まりました。国内でも県境を越える移動が難しくなり、東京の設計チームには現場勤務をしてもらいました。皆で現場を見ながらの即断即決につながって、仕事がスムーズになりました。災い転じて福となす、でしたね。

地域が再エネを支えている 安全・品質・信頼で貢献

――脱炭素社会に向けて地熱発電が注目されていますね。

茅野 鬼首地熱発電所は、地元の人が子供の頃、遠足で訪れた場所として親しみを持ってくれています。純国産エネルギーの地熱には、地元の期待を肌で感じます。水力発電所も近くにあり、再エネを地域が支えているという思いがあるようです。「昔からいるJパワー頑張れ」と応援してくれます。その期待に応えられるような良い発電所にしていきたい。地元の誇りになれるようにと思います。

――地域との交流についてはいかがですか。

茅野 コロナ禍でイベントがなくなっていますが、普段のご近所づきあいは大事にしています。先日はキノコ狩りでの収穫物をいただきました。あげるともらう、を何回も繰り返しますね。みなさん温かいです。互いに思いやり合って日々の暮らしの中で交流を続けたいと思っています。

――地熱ならではの環境への配慮はありますか。

茅野 温泉への影響を生じないことが事業の大前提と肝に銘じています。栗駒国定公園内に位置しているので、工事に従事頂いている方々への自然保護についての入構教育は必須です。また、敷地を拡げずに既設発電所の構内で工事を行う必要があり、狭い中で複数の工事を進めるための工法の工夫と調整が不可欠です。景観への配慮として、新しい建屋を既設より高くしない、色彩を調和させるなど、多くの制限の中で環境と共存しながら建設を進めています。

――所員の皆さんへのメッセージをお願いします。

茅野 運転開始まで残り1年半を切り、今年はいよいよ発電設備の据付、試運転と、発電所の完成に向けての重要な年となります。これからもまずは安全が最優先。無事故無災害を最後まで継続しよう。

そしてJパワーグループがこれまで蓄積した知恵を結集して、高性能で信頼性の高い発電所の完成を目指そう。国定公園の中でこれからも環境配慮を怠らず、再エネの一翼を担うことを意気に感じて、末永く地域に愛される発電所をつくりあげていこう。

掘り当てた報告を受け、生産井の前で笑顔の茅野所長 

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