【四国電力 長井社長】エネルギー情勢混迷の中 リスクマネジメント強化で 電力安定供給を維持する

2022年6月1日

志賀 その点については本誌も問題提起をしていきたいと思います。一方、ウクライナ侵攻以前からさまざまな要因が重なり、昨年ごろから化石燃料価格が上がりました。そのため四国電力は今年4月分の電気料金から燃調上限に張り付いています。料金改定についてどのように考えていますか。

長井 抜本的な料金改定については、現時点では考えていません。当社の電気料金に適用される燃料費調整は、燃料価格高騰を受けて昨年3月分から14か月連続で単価が上昇し、今年4月分の料金で上限に到達しました。その後も、平均燃料価格が上限を超えて上昇する状況が続いており、現在の燃料相場が長期化した場合、電気料金に反映できない上限超過分が経営に大きな影響を与えることは避けられません。

志賀 化石燃料の価格高騰は、国も電力会社もほとんど手の打ちようがありません。

長井 当社は、全社一丸となり、異次元のコスト削減に聖域なく取り組んでいますが、燃料価格の高騰は、当社の努力だけでは、いかんともしがたいリスク要因です。当社が今後も電力の安定供給を継続していくための取り組みとして、今年6月より特別高圧・高圧分野の新規契約を対象に、燃調上限の設定がない新たな料金表を適用することにしました。また、既存のご契約についても、同様に燃調上限の撤廃が必要と判断し、今後、8月からの実施についてお客さまにお願いすることにしました。
 なお、低圧のお客さまについても、同様になんらかの対応の必要性は感じているところです。最近、国の審議会においても燃調制度の在り方についての議論が始まり、安定供給を維持していくためには、費用回収は不可欠であるとの認識も高まっています。こうした議論や燃料価格の動向などを踏まえた検討が必要と考えています。

四国地域の発展に貢献 中期計画の実現目指す

志賀 脱炭素について、2050年カーボンニュートラル(CN)など高い目標が掲げられています。今後の方針を教えてください。

長井 当社グループは、エネルギー供給を支える責任ある事業者として、安全確保を大前提とした原子力の最大限の活用や、再エネの主力電源化に向けた新規電源開発に取り組みます。
 また、火力発電は、再エネの導入拡大を進めていく中で、電力供給の安定化を支える調整力としての役割が増していくものと考えています。非効率な石炭火力を段階的に削減し、高効率な石炭火力を活用する観点から、西条発電所1号機を高効率ユニットへリプレースする工事を進めています。
 加えて、電源の低炭素化だけでなく、電気エネルギーのさらなる活用に向けた取り組みが不可欠だと考えています。従来の電化推進はもとより、屋根置き太陽光発電や蓄電池・EVなどの分散型エネルギーリソースを活用した新たな事業やサービスの創出に取り組んでいます。

高効率ユニットへリプレース予定の西条1号機

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