【東北電力 樋󠄀口社長】地域とともに スマート社会実現へビジネスモデルを転換

2020年9月2日

事業環境の転換点  中長期ビジョンを策定 

志賀 本年2月に「東北電力グループ中長期ビジョン」を策定しました。改めてその背景とポイントを教えてください。 

樋󠄀口 電力小売り全面自由化による競争激化、送配電部門の分社化に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大やデジタル化に伴う電力需給構造の変化など、当社グループを取り巻く事業環境は大きな転換点を迎えています。また、事業基盤である東北6県と新潟県では、他地域と比較して人口減少や少子高齢化が加速しており、今後、交通、教育、福祉といったさまざまな分野で課題が顕在化していくことも想定され、社会構造も大きく変化しようとしています。 

このような変化の激しい時代においては、自らが変革を押し進め、主体的に挑戦していかなければ、当社グループが存在意義を果たし続け、社会とともに持続的な成長を遂げることはできないとの強い危機感があり、今後10年程度の経営の方向性として中長期ビジョンを策定しました。 

このビジョンでは、電力需給構造が大きく変化する中でも、東北6県と新潟県を中心に電力供給を担い続けることはもちろんですが、多様化する社会課題を広く捉え、従来の電気事業の枠を超えてスマート社会の実現に向けた事業への取り組みを通じて、社会の持続的発展と当社グループの成長の両立を目指していくこととしています。その実現のために、電力供給事業の構造改革を進めるとともに、次世代のデジタル技術やイノベーションの活用などを通じて、社会課題を解決し、地域に住む方々が快適・安全・安心に暮らすことができるスマート社会の実現に向け、ビジネスモデルの転換に果敢に挑戦していきたいと考えています。 

志賀 新型コロナウイルス感染拡大が、そうしたビジネスモデルの変革を後押ししそうです。 

樋󠄀口 私たちの生活様式や働き方、価値観などが、従来とは大きく変わる可能性があります。特に、中長期ビジョンにおいて環境変化として認識している、「デジタル化」「分散化」「脱炭素化」の動きは、例えば、デジタル技術を活用したテレワークなどの定着や、都市への一極集中リスクの分散化、さらにはデジタル化や分散化と親和性の高い再エネをはじめとする分散型エネルギーの普及拡大の形で、一層加速していくものと考えられます。当社としては、このような環境変化の中でも柔軟に対応し、中長期ビジョンのもと、東北発のスマート社会の実現を成し遂げていきます。 

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