【目安箱/4月1日】小泉進次郎氏の「政治家的使い方」 世論の先を見るために

2021年4月1日

小泉進次郎環境大臣のエネルギー・環境問題の発言が世間の耳目を集めている。しかし、それは多くの場合、彼の見識の高さというより、発言の「奇妙さ」によるものだろう。例えば直近で話題になったのは、3月18日のラジオ放送「J-wave(関東の放送局)の『JAM THE WORLD』」での小泉氏の発言だ。

「じゃあこのプラスチックを、使い捨てを減らそうと思ってるかというと、プラスチックの原料って石油なんですよ! 意外にこれ知られてないんですけど」

プラスチックの材料は石油と「誰でも知っている」と、ネットやS N Sで笑いが広がった。この言葉以外にも、奇妙な発言を番組の中で繰り返していた。

「化石燃料、石炭・石油・天然ガス、これに依存して人間の経済社会活動が営まれる時代を変えよう!というのが、カーボンニュートラルであり、このプラスチックをもし使うのであれば、リサイクルが前提となる、ゴミが出ないサーキュラーエコノミーなんですよね」

「石油の色もにおいもないから分からないと思うのですが、石油って化石燃料なんです」

単純に中身のない発言だが、前半についてコメントすると、「カーボンニュートラル」の意味は温室効果のある二酸化炭素の大気中への排出を、プラスマイナスで均衡させるということ。小泉氏は言葉の意味を広げすぎて使っている。プラスチックのリサイクル率では、日本は世界のトップクラスにある。後半も奇妙だ。石油が化石燃料であることは、多分中学生でも知っている。

当たり前のことを、すごいことのように話す小泉氏は、常識的なエネルギー・環境問題の知識を持っているのだろうか。

彼が滑稽な発言を繰り返す一般人なら、それでもいいだろう。しかし小泉氏は環境大臣で、政策に影響を与えていると自分で吹聴している。あるインタビューでは、菅政権の掲げる2050年までのカーボンニュートラルの目標に自分が影響を与え、20年4月からのレジ袋有料化も主導したと話す。(日経B P記事「小泉進次郎・環境大臣に聞く「日本はガラパゴスへの道をぎりぎりで踏みとどまった」

1 2 3