【目安箱/4月1日】小泉進次郎氏の「政治家的使い方」 世論の先を見るために

2021年4月1日

カーボンニュートラル目標は菅首相が主導し、レジ袋は環境省の以前からの政策で、小泉氏主導とは思えない。さらに今、彼はマイスプーンの持ち歩きと有料化を訴え、兼務する原子力防災担当大臣として原子力事業者である電力会社への批判も始めている。

増税のためジュニアを踊らす財務省?

エネルギー関係者が集まると、反原発活動に忙しい父の小泉純一郎元首相と共に、小泉親子は話のネタとなる。そこでは彼の能力への疑問と嘲笑が多い。そして小泉氏は奇妙なエネルギー・環境を巡る発言のネタをどこで仕入れ、何のために行っているのかという疑問も話題になる。

発信は環境大臣の仕事であるし、小泉氏が脱炭素社会を目指そうとしていることは確かであろう。しかし彼は自発的に政策を作れるか疑問が出ており、その行動には裏があるのではないか、誰かが吹き込んでいるのではないかとの見方が、エネルギー関係者だけではなく、さまざまな場所で広がる。

一つの憶測が、ネットで出ている。小泉氏は財務省の増税の露払いの役割を担っているのではないかというものだ。日本の財政は破綻状態にあり、政府・財務省は本音では増税に動きたがっている。消費税は2019年にようやく10%に引き上げられたが、その反発は凄まじい。欧州では増税の方法として、世論に受け入れやすい環境分野の課税が広がった。日本の財務省も炭素税や、森林税など、環境分野での導入の研究を進めている。環境省は財務省と人事的連携が深い。

この憶測について、ある退官した財務省の元キャリア官僚に話をしたところ、「よくある財務省陰謀論でしょう」と笑った。その上で、こう付け加えた。「経産省のような個人プレーの集団と違って、財務省の人は、キャリアでもそれ以外でも、また財務省を離れても、税金の使い方と歳入の裏付けを考えます。小泉進次郎さんはお父さんの小泉純一郎元総理と同じように、時代の流れを読むカンは鋭そうに見える。裏事情を聞いたわけではないですが、財務省が政治家を操っているというよりも、その状況を利用しようと中井さん(中井徳太郎環境事務次官、元財務官僚)らが小泉氏を盛り立てているのかもしれません」

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