【中部電力 林社長】社会の持続的な発展へ 新たな価値を創出するビジネスモデルを構築

2022年1月1日

志賀 エネルギー業界は、脱炭素=脱石炭という考え方は大きな間違いだというメッセージをもっと前面に出していくべきではないでしょうか。

 電力業界としても説明不足の点はあると思います。先ほど申し上げたとおり、電気は二次エネルギーであり、一つのエネルギー源に依存すれば供給が脆弱になります。再エネだけ、原子力だけ、火力だけは不可能なのです。

 日本が海に囲まれた島国であること、少資源国であるということを踏まえれば、エネルギーセキュリティの面からも脱炭素化の面からも、多様な電源を持ってそれぞれで脱炭素化を進めなければ、さまざまな課題解決にはつながりません。

志賀 再エネ320万kW以上の拡大というのは、具体的にプロジェクトを積み上げた目標でしょうか。

 相当チャレンジングな目標を設定しました。当社はこれまで、17年度末時点で約256万kWであった再エネ電源を、30年頃に200万kW以上開発を行うことで、従来の約2倍にする目標を掲げていました。今回、それをさらに引き上げたわけですから、達成には大きなハードルがあることは間違いありません。ただし、従来の200万kW以上は主に自社開発ですが、新たな120万kW以上にはお客さま側の設備導入を支援し、その価値をシェアするような取り組みを想定しています。

   建設工事が進む清内路水力発電所(長野県下伊那郡阿智村)

志賀 需要家とCO2価値を共有する取り組みについて、既に具体化した事例はありますか。

林 例えば11月、中部電力ミライズは、自動車部品メーカーの東海理化と、オフサイトPPAサービス(電力購入契約)実施に向けた協定を結びました。中部電力ミライズのグループ会社が長野県の遊休地に太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気とCO2価値を中部電力ミライズが東海理化の愛知県の本社・本社工場にお届けするというビジネスモデルを事業化します。私が販売カンパニー社長に就任した18年4月以降、お客さまの環境価値に対するニーズはますます高まっていると実感していますので、そうしたニーズに対応する新たなサービスの拡充に努めていきます。

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