【特集2】事業者が抱える遊休地を活用 「自家消費型」に熱い視線

2022年1月3日

再生可能エネルギーのさらなる拡大には、遊休地の活用が不可欠だ。事業者向け自家消費型太陽光サービスを手掛ける3社の取り組みを紹介する。

【東京ガスエンジニアリングソリューションズ】

太陽光の自家消費・自己託送を実現 培った技術で再エネ設備を遠隔管理

東京ガスのグループ会社・東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は、太陽光発電システム導入を支援する「ソーラーアドバンス(ソラアド)」を提供している。

ソラアドは、太陽光で発電された電気を利用者が料金を支払って使用するPPA(電力販売契約)サービスで、太陽光の設置から設計、施工、メンテナンスにいたる一連の業務をTGESが一括して請け負う。

料金プランは発電した電力量に応じて料金が変動する従量料金型と、どれだけ発電しても料金が変わらない定額料金型の2種をラインアップ。利用規模に応じて柔軟な契約を結べるのも特色の一つだ。

2019年4月から事業をスタートし、21年12月現在、既に数十件の採用実績がある。21年10月には、大手二輪・自動車メーカー本田技研工業の熊本製作所敷地内の建屋屋根に3800kWの自家消費型太陽光システムを設置。設備の稼働状況を遠隔で24時間監視するなどして、太陽光の性能を中長期で最大限発揮できるよう運用する。太陽光導入による同所でのCO2削減量は、年間約1800tにも及ぶという。

ホンダ熊本製作所に太陽光を導入した

再エネ自己託送も可能 余剰電力を有効活用

ソラアドでは、こうした太陽光の設計・施工からO&M(運用・保守)を行うだけではなく、余剰電力を別の建物で使用する「自己託送」も可能なのが大きな特長といえる。

20年12月に東ガスと不動産大手の東京建物は、ソラアドを用いて環境に配慮した取り組みを進める基本協定を締結した。その第一弾として東京建物の物流拠点「T―LOGI久喜」への915kWの自家消費型太陽光の導入と、余剰となる電力を同社が運営するショッピングセンター「スマーク伊勢崎」へ送電する自己託送を計画している。

ソラアドを用いて自己託送を行う初めての事例について、エンジニアリング技術開発部・新商材技術グループの佐藤俊秀課長代理はこう話す。

「ソラアドには太陽光の出力を予測する機能などを搭載しており、こうしたデータを基に電力広域的運営推進機関へ30分ごとに計画値を自動提出する機能も搭載している。物流倉庫ということで、太陽光を設置できる面積が大きいのに対し消費電力がそこまで多くないため、太陽光を最大限導入しても電力が余る課題があった。自己託送の仕組みは再エネを最大限活用することにつながる」

今後も東京建物は首都圏内に物流拠点「T―LOGI」の建設を予定しており、久喜と同様に倉庫屋根には太陽光を設置する計画という。東ガスはソラアドを活用することで、複数の拠点からスマーク伊勢崎に電力融通する自己託送モデルの構築に継続して取り組んでいく構えだ。

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