【特集2】事業者が抱える遊休地を活用 「自家消費型」に熱い視線

2022年1月3日

【伊藤忠エネクス】

オンサイトPPAサービス開始 国内外で再エネ拡大に貢献

LPガス、石油、電力、地域熱供給など総合エネルギー事業を営む伊藤忠エネクスは、工場や倉庫の屋根などに太陽光発電設備を設置し、発電した電気を事業所内で利用する自家消費型太陽光導入サービスを国内外で手掛ける。

同サービスは、月額固定料金を支払うことで、設備設計からパネルや架台の設置工事、保守・メンテナンスなど、太陽光発電の運用に関わる一連の業務を受けられる。初期費用が不要で、太陽光設置費用は伊藤忠エネクスが負担。保守・メンテナンスは同社が提携する専門事業者が24時間体制で遠隔監視を行う。

21年9月30日には、グループ会社のエネクスフリートが運営する、ガソリンスタンド(SS)の「西宮カーライフ・ステーション(兵庫県西宮市)」で、同サービスの初の案件が稼働を開始した。

西宮のSSは給油所のほか、大型洗車場や車検、車体の傷・凹みを修理する板金工場も併設している大型店舗で、これらの屋根に太陽光を設置した。出力は97・5kWで、使用電力の削減量は導入前と比較して年平均約31%、CO2の削減量は同約38tを見込んでいる。

大型SSで第1号導入 海外でもビジネスを展開

また海外でも同サービスを展開しており、21年11月には、タイで172・8kWの太陽光設備を設置した。使用電力量は導入前に比べて約33%、CO2排出量は年平均で約125tの削減を見込む。国内外問わず再エネ電源を求める事業者は多いという。

同サービスについて、電力・ユーティリティ部門統括部環境ビジネス開発課の久保仁寛課長は「当社は発電事業から電力販売に至るまで、電力ビジネス全般を手掛けているのが大きな特長。今後はCO2フリーの電気料金プランと組み合わせたサービスなど、自家消費型太陽光にプラスアルファの価値を加えて提供することも視野に入れながら事業を進めていきたい」と話している。

省エネやカーボンニュートラル、脱炭素化が叫ばれる昨今、大企業・中小企業を問わず、再エネ電気を採用する動きは高まっていく。伊藤忠エネクスのサービスは今後も大きな関心を集めそうだ。

西宮市のSSに設備を導入した

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