【九州電力 池辺社長】九州から脱炭素をリード ゼロカーボン社会を共創しグループの発展につなげる

2022年2月1日

志賀 再エネの出力制御量を抑制するために、需要側ではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

池辺 ご家庭のお客さま向けには、スマホアプリを通してコミュニケーションをとりながら再エネ電源の有効活用につなげる取り組みとして、昨年3月から「使ってお得・エコチャレンジ」というデマンド・レスポンス(DR)サービスをSBパワーと共同で実施しています。

 これは、太陽光などの再エネが余剰となりやすい春や秋の昼間に、エコキュートの沸き増しなど電気のご利用を増やしていただいたお客さまに対し、その量に応じてポイント(PayPay)を進呈するサービスです。昨年12月末現在で、約2万3000世帯のお客さまにご参加いただいています。

 また、昨年11月には、オール電化向け料金プラン「電化でナイト・セレクト」 「季時別電灯」をご契約のお客さま向けに対象時間帯の電気料金が実質無料となる「タイムセール」を実施しました。これらに限らず今後も、さらなるご家庭向けDRサービスの充実を図っていきます。

 加えて、東京製鐵さまとも、18年秋から太陽光の余剰が見込まれる場合などに通常より安い料金の適用を前提に、工場の生産を増加していただく需要創出の取り組みを春・秋に実施しています。こちらは、昨年11月末までに累計26回実施しています。再エネの出力制御量を抑制するためにも、需給状況やお客さまニーズ、省エネ法改正などを踏まえ、太陽光などの再エネ電源の有効活用に資する料金プランやサービスを引き続き検討していきます。

スマホアプリを通して実施している家庭向けDRサービス

安心・信頼性を向上へ 特重工事は安全最優先

志賀 玄海3、4号機の特定重大事故等対処(特重)施設設置工事の進捗状況はいかがですか。  

池辺 玄海3、4号機の特重施設設置工事については、効率的に工事を行うため、工事計画認可申請を3分割にて申請し、認可を得たものから順次工事を進めており、昨年12月末現在で土木建築工事は8割程度、機械・電気設備の設置工事は3割程度完了しています。

 また、昨年8月10日に特重施設の設置に係る原子炉施設保安規定変更認可を申請し、現在、国の審査に対応しているところです。ただ、残念ながら、昨年11月に工事現場で火災が発生し、工事をいったん中断し徹底した原因の究明を行っています。工事については、安全が最優先だと考えており、再開時期は申し上げられませんが、原因を究明し再発防止対策が纏まった後に工事再開の準備を進めていきます。

志賀 川内1、2号機の特重施設は、問題なく運用できていますか。

池辺 川内1号機は20年11月11日、2号機についても同年12月16日に原子力規制委員会より使用前検査の合格をいただき、運用開始しました。運用にあたっては、保安規定に定めた管理体制の整備、手順書の制定、日常的な整備やパトロール、定期検査時の点検や機能検査に加え、特重施設を用いた各種訓練など、保安のために必要な措置を遵守した上で運用しているところです。故意による大型航空機の衝突やそのほかテロリズムに対して、原子力発電所の安全性と信頼性を一層高めるものであるため、地域の皆さまの安心や信頼性の向上につながるよう、引き続き適切に管理運用していきます。

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