【東京ガス 内田社長】低・脱炭素の取り組み加速 需要と供給の両面から 脱炭素化技術を確立する

2022年5月1日

志賀 今後の都市ガス事業についてはどう展望していますか。

内田 茨城県や神奈川県など、燃料転換も含めて需要開拓の余地は大いにあると考えています。こうした事業計画は、4月1日に新しく発足した東京ガスネットワークの課題となります。もちろん、これからも小売り事業者側が計画して導管会社に延伸を依頼するケースもあるでしょうし、導管会社が導管整備を計画し参入する全ての小売り事業者がそこで事業を展開することもあるでしょう。

 東京ガスネットワークは、二つの大きな目標を掲げています。一つは、東京ガスのガス事業を継承するのはこの新会社であるということです。安定供給や保安の確保、そうしたお客さまの安全・安心な都市ガス利用を支える会社であると位置付けています。

 もう一つは、これまで導管部門はある意味コストセンターでしたが、これからはプロフィットセンターになるべく、さまざまな手を自ら打っていかなければなりません。例えば、先ほどもお話が出た導管の延伸などは新会社で意思決定することになりますし、これまで本社の企画部門が担った託送料金も、どうすれば最良な料金体系になるのか考え自ら決めることになります。

 ガスメーターのスマート化も進んでいて、これを活用しどのような新ビジネスが可能か模索する必要もあります。そういったさまざまな利益拡大策を自らの手で考え実行していく存在になれるよう、約2年間の準備期間で社員の意識改革を進めてきましたし、大いに期待しています。

共に未来を紡ぐ企業へ 新たな経営理念を策定

志賀 新たなグループ経営理念を公表されました。

内田 当社の長い歴史の中で、今は、第三の創業期を迎えていると考えています。事業は天然ガスだけでなく、電気やソリューションなどにも広がり、脱炭素に向けた取り組みも進める中、ホールディングス型のグループ体制に移行しました。こうした変化を踏まえ、新しいグループ経営理念を策定することにしました。新理念「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる」には、事業に携わるあらゆる方々に寄り添い、共に未来を紡ぐエネルギー・原動力になっていきたいという思いを込めました。まずは、一人ひとりのグループ員が、この理念を自分の中に落とし込んでいくことが大事だと思っていますので、私自身が率先してグループ員との対話を行っていきます。

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