【関西電力 森本社長】新たな関西電力創生へ 業務改善計画に魂入れ完遂する

2020年9月2日

不祥事の発覚で逆風吹く中、今年3月に社長に就任した。社内外とのコミュニケーションを深め、透明性の高い開かれた企業風土づくりを目指す。 

もりもと・たかし 
1979東京大学経済学部卒、関西電力入社。2015年常務執行役員総合企画本部長代理、
16年取締役副社長執行役員などを経て20年3月取締役社長に就任。6月から取締役代表執行役社長。 

志賀 一連の不祥事を経て、今年3月に社長に就任し新たなスタートを切られました。 

森本 金品の受け取り問題をはじめ、一連の不祥事によってお客さまや社会からいただいていた信頼を失墜させてしまったことについて、大変申し訳なく、改めてお詫び申し上げます。今年3月、さまざまな課題が山積する中で、いかなる困難にも立ち向かい、再発防止と信頼回復を果たす決意で社長に就任しました。そして、直ちに経営刷新本部を立ち上げ、「業務改善計画」を策定するとともに「指名委員会等設置会社」への移行をはじめ、数々の再発防止対策の実行に取り組んでまいりました。6月の株主総会を経て改革の枠組みは整いましたが、今後は、これにしっかりと魂を入れ実効性を高めていかなければなりません。 

物事を決めていくプロセスの透明性や客観性を担保していくため、「コンプライアンス委員会」や「調達等審査委員会」を新たに設置し、経験・知見豊かな多数の社外委員の皆さまに参画いただき、客観的な視点から貴重なご意見を多数頂戴しています。また、新体制下で初めて開かれた取締役会においても、社外取締役の皆さまから早速、「新たな関西電力の創生」に向けた数々の指摘をいただき、大変心強く、また、ありがたく感じています。 

社員との相互理解深め 全社一丸で信頼回復 

志賀 社員の皆さんも相当不安を感じておられたのではないでしょうか。経営改革を通じて関西電力をどのような企業に育てていくのか。社員へのメッセージを含めて、抱負をお聞かせください。 

森本 昨年来、社員にはお客さまや社会の皆さまからの厳しい声を受け止めながら、それぞれの持ち場で懸命に業務に取り組んでもらっており、改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。今後、改革を実りあるものにしていくために、多くの従業員とコミュニケーションを重ね改革に反映していく所存です。既に、経営層と社員とのコミュニケーションである「創生コミ」や私宛てに直接メールを発信してもらう「直通メッセージ箱」の取り組みを通じて、率直な意見を出してもらっています。経営層に対する厳しい意見が多いですが、回を重ねるごとに前向きな声や改革に期待する声も増えてきており、手応えを感じています。 

こうした声こそが、改革の原動力となりますし、自分の意見を率直に発言できる雰囲気や互いの意見を謙虚に聞く姿勢が、透明性の高い開かれた企業風土をつくる礎になると考えています。より良い道が開かれるよう、これからも経営層と社員とのコミュニケーションを大切に継続し、全社一丸となって信頼回復に取り組みます。電気事業者として誇りを持って仕事に取り組んでいると、社会の皆さまに確信していただけるように、もう一度、全員の力で信頼を築きあげていく――。そのために絶えず努力してまいります。 

志賀 一連の不祥事は、原子力政策の根の深い、さまざまな問題が重なって起きた事案だと思います。これを機に、3・11以降の原子力行政の停滞や規制行政の紆余曲折を検証し、東電問題を含めた原子力政策の在り方、事業者の取り組み方や姿勢が問い直されているのではないでしょうか。 

森本 今回の不祥事の当事者として、そして原子力発電事業を担う一員として、自ら過去の反省を踏まえ取り組まなければならないことがたくさんあります。そういう意味でも、今回策定した業務改善計画をしっかりとやり遂げ、皆さまの信頼を再び賜ることで事業を継続していきたいと考えています。 

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