【関西電力 森本社長】新たな関西電力創生へ 業務改善計画に魂入れ完遂する

2020年9月2日

志賀 話は変わりますが、関電に入社した動機とはどのようなものだったのでしょうか。社員と共通した思いがあるのではないでしょうか。 

森本 最初に電気事業に興味を抱いたきっかけは、1970年、中学3年生の時に大阪万博が開催され学校を挙げて見学に訪れたことです。万博開幕時には日本原電の敦賀発電所が営業運転を開始、開催期間中にも、当社の美浜発電所から万博会場に試送電が行われるなど、当時「万博に原子の灯を」という言葉が脚光を浴びていました。「鉄腕アトム」の影響もあり原子力は将来の希望の技術だという思いを強くしました。 

その後、大学時代に第一次、第二次オイルショックを経験し、海外に依存した日本のエネルギー供給の脆弱性を痛感し、卒業後どういう分野でやりがいを持って仕事ができるかを考えた時に、日本の社会・経済を支える根幹の一つである電力業界で頑張りたいと思うようになりました。多くの社員も同じような思いで入社していると思います。公益事業者として電力の安全・安定供給に携わる仕事をしているのだという誇りを持ち、社員が胸を張って事業に取り組んでいると思える会社にしていきたいです。 

志賀 経済産業省は、非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討に入りました。将来の安定供給と脱炭素化に向け、原発の活用は不可避だと思われます。今後の電源戦略についてはどうお考えでしょうか。 

30、40年後を見据え 既存電源の活用とその先 

森本 安定供給を維持することは当社の重要な役割です。それとともに、時代の要請は脱炭素化、つまり化石燃料に依存しない電源構成を実現することにあります。したがって私たちは、原子力と再生可能エネルギーを両輪として、これらにしっかりと取り組みながら、電力需要の変動や再エネの出力の変動に対応するため、調整力・供給力として、火力や揚水発電についても大切に維持していかなければなりません。当然、化石燃料を海外に依存している日本のエネルギー供給体制を考えれば、原子力の重要性は変わりません。当社は、低炭素のトップランナーとして頑張っていく所存ですので、そういう意味でも安全確保を大前提として、原子力を今後もしっかりと活用していくことが大切だと考えます。 

志賀 再稼働の先も見据えていらっしゃるのでしょうか。 

森本 まずは今ある電源、現在は4基が再稼働していますが、高浜1、2号、美浜3号といった40年を超えるプラントも含めて既存電源を活用していくことが先決です。このまま再稼働が遅れれば、日本にとって重要な原子力の技術や要員、原子力産業自体が衰退していくことが懸念されます。原子力は、運転のみならずバックエンドも含めて、将来にわたって取り組むべき技術として大切に継承していかなければなりません。 

志賀 特定重大事故等対処施設(特重施設)への対応の進ちょくはいかがでしょうか。 

森本 現在、早期の完成を目指して、あらゆる努力を継続しているところです。高浜3、4号機については、本年12月に使用前検査を受検し工事が完了する予定ですが、あくまで現時点の見込みであるため、今後変更となる可能性はあると考えています。その他のプラントの工事の完了時期については、現時点では未定です。 

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